【3Dプリンターの種類】造形方式ごとの製品一覧
2023/06/14
3Dプリンターは、数多くの製品が発売されており、使用できる素材は樹脂やプラスチックをはじめ、いくつかの種類が利用可能です。また、造形方式もいくつかの種類があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。ですから、使用できる素材や造形方式を把握して、3Dプリンターを選ぶことが重要です。この記事では、どのような造形方式があるかを説明します。
3Dプリンターは造形方式で5種類に分けられる
一層一層素材を積み重ねて造形物を作っていくのが3Dプリンターです。どの3Dプリンターも積層で立体物を作りますが、造形方式には大きく分けて以下の5つがあります。
熱溶解積層方式
熱溶解方式は、加熱ノズル先から素材を出して積み上げていく方式です。FFFとも呼ばれており、この技術は2009年に特許が切れて多くの企業の3Dプリンターで採用されました。本体や材料の費用が安く、寸法精度が悪く表面仕上がりは荒いです。
光造形方式
光造形方式はSLA とも呼ばれており、昔から使われてきた方式です。液体の樹脂に紫外線を当てて固めて、積層にしていきます。高精度の造形物が制作でき、表面が滑らかですが、仕上がりまで時間がかかり材料費が高く、原材料のポリマーは有毒で使用に注意が必要です。
インクジェット方式
プリンターと同じ仕組みがインクジェット方式で、ノズルから樹脂を噴射し紫外線で固めて積層にします。カラーで造形でき、高精度に仕上がり、表面が滑らかです。アクリル樹脂系を使用しますが、耐久性は低く、完成した造形物は日光を浴びると紫外線で形が変わります。
粉末焼結方式
粉末焼結方式は粉末素材にレーザーを当てて焼結し固めます。SLSとも呼ばれており、ナイロン素材を使うのが一般的ですが、金属粉末も使用できます。複雑な造形物を作ることができ、耐久性が高く、造形物の表面が粉っぽいです。
粉末着色方式
粉末着色方式は、積層する素材と素材の間にノズルから接着剤を出して固めていきます。きめ細かいフルカラーで造形でき、造形スピードが速く材料費が安いですが、造形物の耐久性は低いです。
造形方式別3Dプリンターを紹介
3Dプリンターの造形方式は5つありますが、造形方式ごとの製品をご紹介します。
【熱溶解方式】Value3D MagiX MF-2200D
製品サイズはL680×W705×H680mmで、机に置ける大きさのデスクトップ3Dプリンターです。造形サイズは最大300mm四方となっており、大きな造形物も制作できます。2つのノズルを搭載し、異なる2色の材料を使用できます。また、ノズルの軸は高速移動できるようになっており、自社比で造形スピードが1.2倍に早まりました。材料には樹脂を使用しますが、造形中の反りを抑制するために、造形テーブルにヒーターを搭載しています。ABS、PLAの他にもいくつもの材料を使用可能で、サポート材は水に溶けるため、サポート材除去の手間がかかりません。ノズルには使用しないときにシャッターでノズル先を抑えるので、樹脂が漏れ出しません。
【光造形方式】VECTOR 3SP
造形物や仕上がり表面の精度を犠牲にすることなく、高速に造形物制作を行えます。造形するときはUVレーザーを毎分20000回転で高速走査し、自己キャリブレーション制御により強度を維持します。複雑な形状にも対応し、歪みのない造形物を製作可能です。サポート材を少なくして造形できるため、ランニングコストに貢献します。300×200×275mmのサイズも造形できるため、大きな造形物も制作できます。使用できる材料は9種類と多彩です。
【インクジェット方式】ProJet2500/2500W
オフィスに設置できるコンパクトなサイズで、低価格で導入しやすいです。造形サイズは最大で約200mmです。高精度の造形物制作が可能なため、工業用製品の試作にも使用できます。造形で使用するサポート材は、プリンタ内の温風で溶かすため、完成後は水で洗い流すだけです。さらに、超音波洗浄でサポート材を除去する機能も備えています。2500はアクリル樹脂、2500Wはワックスを材料として使用します。
【粉末焼結方式】MfgPro230 xS
使用できる材料は種類が多く、そのためにさまざまな用途で3Dプリンターを活用できます。使用材料は純正品でなくとも使用可能です。2つのソフトウェアを搭載し、材料ごとに適した調整をしながら高速造形します。製品サイズは大きく、AC200Vが必要なため、導入するには設置環境が対応しているか確認しておきましょう。造形ではサポート材が不要で、粉末材がサポート材の代わりとなります。
【粉末固着方式】Zprinter650
フルカラー造形に対応し、従来品のシアン・マゼンタ・イエローの3色に加えて、新たにキートーンを追加しました。キートーンが加わり、より高精細な色合いの再現が可能になっています。また、従来品より造形物の解像度も上がっています。最大造形サイズは254×381×203mmです。材料にはセラミックやでんぷんのパウダーを使用します。造形中に残ったパウダーは吸引して回収し、約80%が再利用可能です。造形物の表面を詳細に表現でき、豊かな見た目の造形物を作ることができます。
3Dプリンターの造形方式は大きく5つあります。熱溶解積層方式、光造形方式、インクジェット方式、粉末焼結方式、粉末着方式です。それぞれの方式には特徴があり、個人向けや企業向け、高解像度製造に適したものなどがあります。そのため、どのような用途に使用するかに応じて、適した方式の3Dプリンターを選ぶことが重要です。