3Dプリンターについて

業務用3Dプリンターの材料費の違いとコストダウンのポイント

2024/04/19

業務用3Dプリンターの素材は、耐熱性や柔軟性などの要件に応じてABSやナイロン、PC、カーボンファイバー配合などが選択されます。材料費は造形物の大きさや性質によって異なり、ナイロンから透明樹脂まで価格帯が広がります。材料費の違いを考慮して適切な素材を選び、内部を空洞化することでコスト削減が可能ですが、機器選定や素材の選定が重要です。

業務用3Dプリンターの素材とは？素材は特徴や用途により多種多用

業務用3Dプリンターの素材は、その特性や用途に応じて幅広い選択肢があります。高強度や耐熱性、耐候性、柔軟性、透明性など、さまざまな要件に対応するために、ABSやナイロン、PC、カーボンファイバー配合などの素材が利用されています。

◇業務用3Dプリンターの素材とは

業務用3Dプリンターの素材は、立体物を造形するための重要な素材です。異なる造形方式によって、樹脂フィラメント、紫外線硬化液体、粉末素材などがあります。

熱溶解積層方式では、熱で溶ける樹脂がフィラメントとして利用され、光造形方式やインクジェット方式ではアクリレート系樹脂が使われます。

粉末焼結方式やバインダージェッティング方式では、粉末状の素材が使用されることが多いです。これらの素材は、それぞれの特性や用途に応じて選択され、様々な産業や分野で広く活用されています。

◇業務用3Dプリンターの素材は特徴や用途から選択する

業務用3Dプリンターの素材は、用途や特性に合わせて選ぶ必要があります。例えば、高強度・高靭性が必要な場合にはABSやナイロン、PC、カーボンファイバー配合などが適しています。耐熱性が必要な場合は、ナイロンや高耐熱レジンの素材を選びましょう。

耐候性に優れた素材としては、ASAや耐候性レジンが挙げられます。柔軟性が必要ならTPU/TPEやゴムライクレジンが選ばれることが多いです。素材の選択は、立体物の品質や性能を向上させるために重要で、特徴や用途に合わせて選びましょう。

素材によって異なる材料費と考慮すべき点

使用する素材によって、3Dプリントの材料費に大きな差が生じます。ナイロンやゴムライク樹脂などの安価な素材から、フルカラー樹脂や透明樹脂といった高価格帯の素材まで、幅広い価格帯が存在します。

◇大きさや性質によって変わる材料費

3Dプリンターの材料費は、大きさや性質によって大きく変わります。大きな造形物ほど材料が多く必要で、背の高いものよりも体積の大きいものは費用が高くなります。

また、樹脂材料の価格は3Dプリンター本体の価格に比例し、安価なプリンターでは素材も安価です。しかし、成功率や精度に問題が生じることがあるでしょう。

一方、高価な機種では材料費も高い傾向ですが、高強度や高精度な造形物が可能です。求める精度に合わせて、適切な素材を選ぶことが必要です。

◇素材によって異なる材料費

様々な3Dプリント素材があり、それぞれの特性によって材料費も異なります。例えば、幅50mm × 高さ150mm × 奥行き63mmのフィギュアを作成する場合、ナイロン樹脂で約13,000円、ゴムライク樹脂で約6,000円、フルカラー樹脂で約22,000円、透明樹脂で約65,000円かかります。ナイロン樹脂は比較的安価で、工業製品やスマホケースなどに多く使用されている素材です。

一方、ゴムライク樹脂は高価であり、フルカラー樹脂や透明樹脂も中から高価格帯に位置します。ただし、材料費だけでなく、素材の特性や用途に応じて適切な素材を選ぶことが重要です。

樹脂素材で見る材料費による違いとコストカットのポイント

樹脂素材を使用する際の材料費には大きな違いがあります。コスト削減のポイントを把握することで、効率的な素材の選択と使用方法を見出すことが可能です。

◇樹脂素材で見る材料費による違い

樹脂素材の価格差は大きく、3Dプリンターの樹脂材料は種類によって価格帯が異なります。一般的なプラスチック素材でも、造形方式や樹脂の特性によって価格が変わります。たとえば、FDM/FFF方式では熱可塑性樹脂を使用し、1kgあたりの価格は2,

000円から10万円程度と幅広い価格帯です。光造形方式やインクジェット方式、レーザー焼結方式では異なる樹脂を使うため、材料費も大きく異なります。これらを考慮し、樹脂素材を選ぶ際にはコストと機能性のバランスを考慮する必要があります。

◇業務用3dプリンターのコストダウンのポイント

業務用3Dプリンターのコストダウンのポイントは、価格の低い素材を活用することや、造形物の内部を空洞化する方法があります。ナイロン樹脂はそのような目的に最適で、低価格なうえに非常に頑丈で耐久性に優れています。

この特性を生かして、造形物の内部を空洞化することで材料の使用量を削減し、コストを抑えることが可能です。ナイロン樹脂は工業製品やスマホケースなどにも広く使用される信頼性の高い素材です。

業務用3Dプリンターのコストカットに成功した事例

業務用3Dプリンターの導入で、コスト削減ができます。実際の事例では、80％以上の削減を達成している企業も存在しています。

しかし一方で、導入後にコストが増大したという事例も少なくありません。コスト削減を実現するためには、適切な機器選定や素材の選定が重要です。

◇タカチ電機工業

タカチ電機工業が業務用3Dプリンターを導入し、コストカットに成功した事例があります。導入前の課題は、造形物の精度や表面の綺麗さ、そしてランニングコストの高さでした。そこで、造形物の精度が高く、表面に出るムラや筋が少ない特徴を持つ3Dプリンターを導入しました。

導入後は、時間短縮とコストダウンが実現しています。1回の造形時間は8時間～10時間かかりますが、大体のモデルは一晩で完成し、約90％も時間が短縮しています。

また、材料費はモデル1セットあたり7,000円～15,000円ですみ、サポート材料の除去作業の人件費を考慮しても、約70％のコスト削減が実現されました。

◇Rapid Application Group 社

Rapid Application Group社では、溶接用固定具のトポロジー最適化によって、部品機能を損なうことなく材料の使用量を削減しました。この材料使用量の削減により、固定具の生産コストやプリント時間が削減され、コストと時間の削減に成功しています。

さらに、3Dプリントで作られた軽量の溶接用固定具は扱いやすく、機能改善も実現しています。この結果、最終的な溶接用固定具の生産時間を84%、固定具コストを56%削減することに成功しました。

業務用3Dプリンターの素材は、特性や用途によって選ばれます。素材にはABSやナイロン、PC、カーボンファイバー配合などがあり、耐熱性や耐候性、柔軟性など様々な要件に対応します。材料費は造形物の大きさや性質によって異なり、ナイロンやゴムライク樹脂からフルカラー樹脂や透明樹脂まで価格帯が広がります。

樹脂素材を使用する際の材料費には大きな違いがあり、コスト削減のポイントは適切な素材の選択や内部の空洞化にあります。業務用3Dプリンターの導入でコスト削減が可能ですが、機器選定や素材の選定が重要です。業務用3Dプリンター導入GUIDEでは、現状のプリンターで満足できない方へ、より高精密な3Dプリンターをご紹介しています。ぜひ他の記事もご覧ください。