業務用3Dプリンターの値段は?用途と性能から適切な機種選び
2023/07/31
企業が3Dプリンターを導入する際に、最も気になるのは費用ではないでしょうか。3Dプリンターの価格は種類によって大きく異なります。コンパクトなものから大型のものまで様々であり、種類ごとに値段が異なるのです。
ここでは、3Dプリンターの種類と価格について解説します。さらに、3Dプリンターの選択は使用用途によっても変わることを理解しておくことが重要です。この点についても詳しく紹介します。企業が最適な3Dプリンターを選ぶために、これらの情報を活用してください。
業務用3Dプリンターの値段はいくらするの?
業務用3Dプリンターを導入しようとしたときに、かかる費用はどのくらいなのかわからなければ検討の使用がありません。ここでは、業務用3Dプリンターにはどのような種類があり、費用がいくらなのかを具体的に解説します。
業務用3Dプリンターの種類
業務用3Dプリンターにはさまざまな種類があります。以下に代表的な業務用3Dプリンターの種類を5つ解説します。
- FDM(フィラメントデポジションモデリング)プリンター
- SLA(ステレオリソグラフィー)プリンター
- SLS(セレクティブレーザーシンタリング)プリンター
- DLP(デジタルライトプロセッシング)プリンター
- PolyJet(マテリアルジェッティング)プリンター
- Binder Jetting(バインダージェッティング)プリンター
1.1.1 FDM(フィラメントデポジションモデリング)プリンター
FDMプリンターは、最も一般的な業務用3Dプリンターのタイプです。熱融解性フィラメント(通常はプラスチック)を加熱して液体状態にし、造形範囲に層を積み重ねて造形します。FDMプリンターは低価格で手軽に使用できるため、教育機関やプロトタイピング、小規模生産などに適しています。
1.1.2 SLA(ステレオリソグラフィー)プリンター
SLAプリンターは光硬化性樹脂をレーザーやUV光で層ごとに硬化させて造形します。高精度で滑らかな表面仕上げを実現できるため、精密なプロトタイピングやデザインモデルの製作、ジュエリーや歯科などの用途に向いています。
1.1.3 SLS(セレクティブレーザーシンタリング)プリンター
SLSプリンターはレーザーで粉末材料(主にナイロンやポリアミド)を層ごとに焼結・融着させて造形します。粉末が支えられるため、サポート構造が不要で複雑な形状を実現できるのです。産業部品や機能性プロトタイプの製造に適しています。
1.1.4 DLP(デジタルライトプロセッシング)プリンター
DLPプリンターは、液状の樹脂をデジタルプロジェクターの光で硬化させて造形します。一度に複数のレイヤーを同時に印刷できるため、高速な造形が可能です。精密なプロトタイピングや短期間での製品製造に適しています。
1.1.5 PolyJet(マテリアルジェッティング)プリンター
PolyJetプリンターは、複数の樹脂を高圧噴射して液滴を層状に堆積させ、硬化させて造形します。高解像度と多彩な色彩表現が可能で、外観モデルやプロトタイピングに適しています。
1.1.6 Binder Jetting(バインダージェッティング)プリンター
Binder Jettingプリンターは粉末材料にバインダーを噴射して層を固め、完成した造形物は加熱や焼結処理を行います。金属やセラミックスなどの製造に利用され、産業用途での金型作成などに効果的なのです。
業務用3Dプリンターの価格
業務用3Dプリンターの値段は機種やメーカーによって異なります。価格帯は広く、比較的安価なものから高価なものまでさまざまです。以下に一般的な価格帯を示します
1.2.1 低価格帯
低価格帯は、約数千円から数十万円ほどします。これらのプリンターは一般的にホビーユースや教育機関向けで、比較的小型で精度や機能が限られていますが、基本的な3Dプリントが行えます。
1.2.2 中価格帯
中価格帯は、約数十万円から1万円以上します。これらのプリンターはビジネスや研究機関向けで、より高度な機能や高い精度、耐久性を持ち、大きな3Dプリントが可能です。
1.2.3 高価格帯
高価格帯は、100万円以上から数百万円以上します。これらのプリンターは産業用途や専門的な用途向けで、高度な機能や大型・高精度の3Dプリントが行えます。特定の産業分野やプロジェクトに特化している場合もあります。
業務用3Dプリンターの用途には何があるのか?
業務用3Dプリンターはいろいろな用途で利用できます。実際にどのような用途で利用できるのか以下の8つのケースを紹介します。
- プロトタイピング
- 製造部品の試作
- アーキテクチャと建築
- 医療産業
- ジュエリー製造
- 教育
- アートとクリエイティブ
- 製造業
2.1 プロトタイピング
3Dプリンターは迅速なプロトタイピングに適しており、新製品やデザインの概念を実物サンプルとして評価するのに役立ちます。製品の形状や機能を検証し、設計の修正を行えるのです。
2.2 製造部品の試作
産業部品や機械部品の試作品を作成する際に、3Dプリンターを使用して形状の確認や機能テストを行うことがあります。特にカスタム部品や小ロット生産に適しています。
2.3 アーキテクチャと建築
建築業界では建物の模型やデザインの検討に3Dプリンターが活用されることが多いです。建築模型やプロトタイプの作成に役立ちます。
2.4 医療産業
医療機器のプロトタイピングやカスタム製品の製造、歯科用の補綴物やインプラントの作成に使われます。
2.5 ジュエリー製造
ジュエリーデザインやプロトタイピング、カスタムジュエリーの製造などにも3Dプリンターが活用されます。
2.6 教育
教育機関や研究機関では、STEM教育やデザイン・エンジニアリング教育の一環として3Dプリンターを利用するケースが増加傾向です。
2.7 アートとクリエイティブ
アーティストやデザイナーは、3Dプリンターを用いて複雑な造形物や彫刻、インスタレーションアートを作成することがあります。
2.8 製造業
産業用途では、金型やプロトタイピングに特化した3Dプリンターが使用されることがあります。特に小規模なロット生産やカスタム部品の製造に最適です。
業務用3Dプリンターの選び方のポイント8つ
自社のニーズに最適な業務用3Dプリンターを選択しましょう。重要な決定であるため、十分なリサーチや相談を行い、将来のビジネスニーズにも対応できるプリンターを選ぶことが成功の鍵となります。
業務用3Dプリンターを選ぶ際のポイントは以下の8つがあります。
- 必要な用途と要件の明確化
- プリンターのタイプと技術
- 印刷材料
- 精度と解像度
- 印刷サイズと造形範囲
- ソフトウェアと操作性
- サポートと保証
- コストと投資対効果
必要な用途と要件の明確化
3Dプリンターの用途と要件をよく理解することが重要です。プロトタイピング、産業部品製造、医療機器の製造など、用途によって求められる性能や特性が異なります。必要な造形範囲、精度、材料対応範囲、生産性などを明確にしましょう。
プリンターのタイプと技術
FDM、SLA、SLS、PolyJet、バインダージェッティングなど、さまざまな3Dプリンターのタイプと技術があります。用途や要件に応じて適切なタイプを選択しましょう。精密なプロトタイピングや医療用途にはSLAやSLS、産業部品製造にはバインダージェッティングなどが適しています。
印刷材料
使用したい材料によって3Dプリンターを選定することが重要です。一般的なプリンターはプラスチック(ABS、PLAなど)を使いますが、金属、セラミックス、強化樹脂などの特殊な材料に対応したプリンターもあります。
精度と解像度
製品の精度や表面仕上げが重要な場合は、高い解像度を持つプリンターを選択しましょう。特に産業部品や医療機器の製造では、寸法精度や表面の滑らかさが要件となります。
印刷サイズと造形範囲
印刷サイズはプリンターの造形範囲を示します。必要なサイズに合ったプリンターを選びましょう。大きな部品や模型を作成する場合は、大型の造形範囲を持つプリンターが必要です。
ソフトウェアと操作性
プリンターの操作性や使いやすさも重要です。簡単な操作インターフェースや豊富な機能を持つソフトウェアがプリンターの使い勝手を左右します。
サポートと保証
プリンターのサポート体制や保証にも注意を払いましょう。信頼性の高いメーカーや販売業者から購入することで、トラブル時の対応が円滑になります。
コストと投資対効果
最終的にはコストと投資対効果を考慮してプリンターを選びましょう。初期投資だけでなく、ランニングコストやメンテナンス費用も考慮して総合的なコストを評価します。
企業が業務用3Dプリンターを導入する際の費用について詳しく紹介してきました。業務用3Dプリンターの選定には、使用目的やプリンターの種類によって値段が変動することをわかりやすく解説してきました。
もし、現在業務用3Dプリンターの導入を考えている方は、軽率に決定せずに、3Dプリンターの専門企業であるオルテコーポレーションに相談してみることをお勧めします。専門家との相談により、必ず企業に適した業務用3Dプリンターの選択ができることでしょう。