業務用3Dプリンターは海外メーカーが主流?注目のメーカー
2023/09/30
3Dプリンターは技術の普及が著しく高まっていますが、実は2012~2013年の間に主要となる造形方式の特許が失効したことをきっかけに市場の拡大が顕著になりました。
もともと試作用としてしか使われていなかった3Dプリンターも、技術の発展に伴い量産品の製造にまで適用されるようになっています。
様々な機種が出ている3Dプリンターは、やはり海外メーカーが主流です。
トップレベルのシェアを誇る企業と、注目されている日本のメーカーの特徴を紹介します。
業務用3Dプリンターで世界的にシェアが大きいメーカー
3Dプリンターは、過去数十年の間に大きな進化を遂げてきました。
特に、主要な造形方式の特許失効をきっかけに、この10年で市場の拡大が顕著になっています。技術の公開により、既存技術の普及と数多くの企業が市場へ参戦。
3Dプリント技術の進歩も大幅に進み、市場が飛躍的に成長しました。
この市場の拡大は、メーカー間の競争も激化させています。
現在、Stratasysを代表とした大手メーカーが大部分の市場シェアを占めていますが、金属プリンター分野でのEOSの成長や、Markforgedといった新興企業の活躍を目覚ましく、3Dプリンター市場は日々変化しています。
先ほど例に挙げた3社の特徴を紹介します。
Stratasys(ストラタシス)
Stratasysは、アメリカを拠点にする3Dプリンターメーカーで、世界でも指折りのシェアを誇ります。1988年にFDM方式(熱溶解積層方式)の特許を取得し、その技術をもとに業界初の3Dプリンターを開発しました。この特許の失効をきっかけに、他の企業によるFDM方式の低価格版の開発が進み、市場の活性化にも繋がりました。
Stratasysでは、多様な価格帯での製品を展開しており、業務用の中型から大型機の製造を得意としています。
EOS(Electro Optical Systems)
EOSは、ドイツを拠点とする3Dプリンターメーカーで、特に金属粉末3Dプリンター分野においては世界のトップブランドとして知られます。
設立は1989年で、金属粉末3Dプリンターにおけるそのシェアは圧倒的です。
日本の代理店として、25年以上前からNTTデータエンジニアリングシステムズが活動しており、2017年にはEOSの日本法人も設立されました。
Markforged(マークフォージド)
2013年の設立とは思えないほど、短期間での著しい成長を遂げたMarkforgedは、カーボンファイバーを使用した3Dプリンターの開発で知られる企業です。
その技術は「世界で最も革新的な3Dプリンター」とも評され、特に「MARK TWO」や「MARK X7」といったシリーズは業界内でも高く評価されています。
また、「MetalX」という金属3Dプリンターも販売。デスクトップ型の金属3Dプリンターであるため、比較的手軽に導入が可能です。
国内に代理店を持つ海外メーカー
3Dプリンターメーカーの大半は海外にあります。そのため、日本で海外メーカーの3Dプリンターを購入する場合、日本代理店があるメーカーを選びましょう。
もちろん、海外から直接3Dプリンターを買い付けることも可能です。
しかしながら、サポート体制や保守点検にどうしても不安が残ります。
また、マニュアルも日本語に対応していない場合が多いです。
国内に代理店を持つ海外メーカーは多いですが、その中でも超高精度の3Dプリントを得意とするBMF社を紹介します。
BMF(Boston Micro Fabrication)
超高精度のマイクロ3Dプリンターを製造・販売する企業です。
マサチューセッツ州ボストンに拠点を持っており、アジアやヨーロッパなど世界中に展開しています。
BMFが誇る製品の特徴は、精密なマイクロ3Dプリンターです。
BMFの3Dプリンターは、極めて高精度な部品や微細な構造を造形することを目的としています。
そのスペックは非常に優秀で、一般的な業務用3Dプリンターよりもはるかに小さなサイズで印刷が可能です。
BMFの3Dプリンターは、独自のマイクロナノ光造形方式PµSL(Projection Micro Stereolithography)という技術を使用しています。詳細は省きますが、この技術では、光を使って微小な樹脂層を硬化させることで、非常に高い精度で小さな部品まで製造することが可能です。
BMFのプリンターで印刷した部品の用途は幅広く、実際に医療の現場や学術研究の用途として使われるほど、精度が高い印刷が可能です。
BMFの国内正規代理店オルテコーポレーション
オルテコーポレーションは、日本におけるBMFの正規代理店です。
会社概要:大阪で半導体制御装置の消耗パーツの卸売業としてスタート。本社を京都に映してからは、日本のものづくりを陰から支え、確かな価値あるモノを提供することをミッションとして活動しています。
そのおかげもあってか、現在では半導体製造・装置メーカーへのアドバイスやソリューションを提案し、顧客のニーズに合わせた超精密部品加工のスペシャリストとして認知されています。
2020年には、精密部品の製造に着目し、BMF microArch® 3Dプリンターの日本での正規販売代理店として取り扱いを開始しました。
オルテコーポレーションは、品質管理が出来る検査装置を所持。さらには、精密加工や設計に関する知見から、専門的な相談も受け付けています。
また、製品の導入に関する全工程で総合的なサポートを受けられます。
導入前:サンプル造形、事前準備(設置環境調査、コンサルティング)
導入時:設置、初期設定、トレーニング提供
導入後:技術的な相談、故障時のサポート、最新情報の配信
注目の業務用3Dプリンター国内メーカー
有名企業のほとんどが海外メーカーである3Dプリンター業界ですが、日本のプリンター業界も負けていません。
日本でも、多くの企業が3Dプリンターを製造・販売しており、海外メーカーに不安がある場合は、検討してみてください。
DMG森精機
DMG森精機は、1948年の創業からの長い歴史を持つ、日本を代表する工作機械メーカーです。特に「LASERTEC」シリーズという金属3Dプリンターを市場に投入している点が注目されており、国内外の拠点と販路を持つことから、国際的な3Dプリンターメーカーとしての地位を築いています。その最大の特徴は、商品のバリエーションの豊富さ。初期にはDED方式の3Dプリンターを提供していたものの、2017年からSLM方式の導入を果たしました。そして、その技術を活かし、金属3Dプリンターと5軸加工マシンを一体化した3Dプリント複合機の開発にも成功しています。また、近年では大型金属3Dプリンターの開発にも挑戦し、φ670mm×932mmの大きさの積層が可能となっています。
キーエンス
株式会社キーエンスは、1974年に設立され、センサや測定器、画像処理機器の製造・販売を主な事業としています。企業理念は「付加価値の創造」。ユーザーの深いニーズを解析し取り組んだ結果、新製品の7割が世界や業界で初であることは特筆すべき点です。
キーエンスは、「アジリスタ」という3Dプリンターを販売しています。その特徴として、
国内で唯一、インクジェット方式を採用しており、温度変動による反りのリスクを排除しています。
また、独自のノズルと、15μmの積層ピッチにより、高度な精密造形が可能です。
サイズもオフィスに設定できるほどコンパクトで、導入敷居が低いことにも注目できます。
さらに、3Dプリンターのサポート材として、世界初の水溶性材料を採用しました。
そのため、造形後の不要なサポート材の除去は単に水に浸すだけで可能であり、造形物自体は吸水性が低いため、水に浸しても形状の変形はほとんどありません。
使用できる材料には透明樹脂とゴムが含まれ、内部構造のチェックに役立ちます。
複雑な機構をもつ部品の試作には、使い勝手の良い製品を販売しています。
3Dプリンターの普及には、技術の進歩と主要な海外メーカーを含めた競争による市場の拡大が貢献しています。世界シェアの多くを海外メーカーが担っており、新興企業も参戦して熱のある市場です。
海外メーカーの3Dプリンターを購入する場合は、国内に正規代理店をもつメーカーをおすすめします。
機能としては素晴らしくても、業務用に導入する場合にはメーカーサポートも重要です。
導入の困難さや日本語非対応のマニュアルなどを考えると不安が残ります。
一方で、日本のメーカーも負けていません。
既存技術を組み合わせ機種、ユーザーニーズをとことん追及した機種など様々な3Dプリンターが登場しています。
今後も、国内外問わず、多くのメーカーの発展に注目していきましょう。