幅広い業界で導入が進む業務用3Dプリンター!事例からみる導入効果とは?
2023/10/31
業務用3Dプリンターは、建築、医療、自動車、食品、ファッション分野で驚くべき成果を上げています。低コスト住宅、臓器モデル、少量生産、独創的デザインなど、さまざまな分野での導入効果が注目され、コスト削減や品質向上が可能です。業界全体で事例が増え、今後ますます不可欠なツールとして発展が期待されています。
幅広い分野で活躍する業務用3Dプリンター
業務用3Dプリンターは、多岐にわたる分野でその導入効果を示しています。
建築業界
建築業界では3Dプリンターを主に2つの方法で活用しています。1つ目は工場で部材をプリントし、現場で組み立てる方法です。そして2つ目は、現場で建物を直接3Dプリントする方法です。
これらの建築方法により従来と比べて人手や時間を節約できるため、よりリーズナブルな住宅価格を実現できると期待されています。
医療業界
患者や家族への説明資料として、業務用3Dプリンターで造形した臓器の精密モデルが活用されています。また、オーダーメイドの義手や義足の製造にも3Dプリンターが活用されており、製造コスト削減に寄与しています。
さらに、業務用3Dプリンターを用いた人工心臓弁開発の研究も進行中です。実用化の研究が進めば、これまでは技術や費用の制約で困難とされていた治療も、より手軽に実施できるようになるでしょう。
食品業界
フードプリンター活用が進んでおり、個別の食品ニーズに対応する取り組みが行われています。介護食では、ペースト状の食材を業務用3Dフードプリンターで積層し、高齢者に合わせた柔らかく栄養調整された食品が登場しています。
見た目で敬遠される食材、例えば野菜のくずや虫もペースト化して活用できるため、食品ロスの削減への期待も高まるでしょう。
自動車業界
大手は3Dプリンターを活用することで、生産性を向上させています。実際に、リサイクル材を使用したタイヤ製造や、治工具の内製化でコストと時間の節約を行っている事例があります。
3Dプリンターは試作品や特殊部品の製造に適しており、外注コストの削減や開発スピードの向上が見込まれます。さらに、形状に柔軟性があるため、高強度かつ軽量な部品作成の技術革新が期待されています。
ファッション業界
アクセサリーや装飾品の造形、シューズのミッドソールの製造などに使われています。業務用3Dプリンターは縫い目のないデザインやオートクチュールなどの複雑な造形にも対応が可能なので、製作過程での廃棄物削減につながるでしょう。
業務用3Dプリンター導入のメリットは?
業務用3Dプリンターを導入すると、以下4つのメリットが考えられます。
コストの削減
コストの面での利点が挙げられます。外注にかかる費用や人件費など、多くのコストを削減できるのです。なぜなら、製造や加工を自社で行えるためです。
また、開発コストも大幅に削減できます。例えば外注の場合、仕様の打ち合わせや運送に時間がかかりますが、自社で業務用3Dプリンターを持てばそのような手間が省けるでしょう。
また金型や鋳型なども造形できるので、外注の工程を内製化することが可能になり外注費を抑えることが可能です。
在庫管理の効率化
在庫管理も格段に効率的になります。従来は故障や改良を想定して多くの予備パーツを保管していた必要がありましたが、業務用3Dプリンターがあれば必要な時にすぐ製造が可能です。
さらに、業務用3Dデータを編集するだけで改良後のパーツをすぐに造形できるため、在庫の管理が楽になるでしょう。
品質の向上
業務用3Dプリンターを用いると、顧客の要望に合わせた複雑な形の試作品を作ることができます。また、実物を直接確認できるので問題点の早期発見ができ、この結果製品の品質向上が期待できるでしょう。
業務用3Dプリンターの導入効果!事例を紹介
業務用3Dプリンターは、その導入効果の大きさにより、今やさまざまな産業において必須の選択肢となっています。どのような導入効果があるのか、事例をみていきましょう。
土木業界
大型業務用3Dプリンター「Creator4S」が部品作成に用いられており、主に最終製品として活用中です。小ロットでの独自製品製造が多く、特に20cm~30cmの製品を中心に造形しています。
自転車業界
トヨタのレーシングチームが、廃版となったA70スープラやA80スープラの部品を業務用3Dプリンターで復刻し再販しています。
また、イタリアの自動車メーカー「ブガッティ」はハイパーカー「Bolide」にて、軽さ・薄さ・剛性を追求した部品開発のために業務用3Dプリントを駆使しました。
航空宇宙業界
NASAのアルテミス計画で、月面の材料を使った基地建設を目指しており、業務用3Dプリント技術が活用されています。
ブルーオリジン社は、宇宙船のエンジン製造にこの技術を取り入れており、国内でもJAXAや三菱重工がロケット部品の製造に業務用3Dプリンターを利用しています。
業務用3Dプリンターは建築、医療、自動車、食品、ファッションなど幅広い分野で活躍しています。建築業界では、低コスト住宅を実現が可能です。医療業界では、臓器モデルや義肢の製造が可能です。
自動車業界では、少量生産と部品内製化を実現しています。食品業界で介護食や食品ロス削減、ファッション業界で独創的なデザイン製作など多岐にわたるメリットがあります。
導入によるコスト削減、開発効率向上、品質向上、在庫の効率化などが期待され、各業界で事例が増加中です。業務用3Dプリンターは、今後ますます必要不可欠なツールとして発展が期待されています。