業務用3Dプリンターで高いニーズを持つセラミック!使用用途やおすすめメーカーについて
2023/11/28
業務用3Dプリンターで高いニーズを持つセラミック。優れた耐久性・耐熱性があり、軽量でありながらも強靭な構造が特徴です。さまざまな利点から自動車部品や航空機部品、食器や装飾品、建築材料など幅広い製品に利用されています。
利点がある一方で、セラミックはその硬度の高さから、通常の金属加工技術では加工が難しく、専門的な技術や特殊な機器が必要といわれています。ただ近年では加工の難点をクリアする最新型の3Dプリンティング技術も登場しています。セラミックの特徴やセラミック業務用3Dプリンターを製造するメーカーをご紹介します。
利点が多い一方で加工が難しいセラミック
セラミックとはそもそも何か、またセラミックの特徴や利点、加工における難しさについてみていきます。
セラミックとは
セラミックは、無機質の非金属性材料であり、酸化アルミニウム、窒化珪素、酸化ジルコニウムなどの化合物からなる材料の総称です。セラミックは結晶構造を持ち、その特性は結晶構造や成分によって異なります。セラミックに分類される材料としては、ダイヤモンド、シリコン、無機化合物などが代表的な例です。
セラミックの特徴
セラミックはダイヤモンドに迫るほどの硬度の高さがあるため、通常の金属よりも優れた耐久性が期待できます。また耐熱性があり、高温環境での使用が可能です。耐摩耗性にも優れており、機械部品などの摩擦が激しい環境での利用に適しています。その他、絶縁体で電気を通しにくい性質、耐蝕性や耐天候性などに優れている点も特徴です。
セラミックの利点
セラミックは軽量でありながらも強靭な構造を持っています。この特性は、自動車部品や航空機部品、さらにはスポーツ用具などの製品において、軽量化と同時に耐久性を確保する上で有利です。製品の軽量化はエネルギー効率の向上や持ち運びの容易性に寄与します。
表面を緻密に仕上げることできるという点も、セラミックの利点です。この特性により、製品に高い質感や美的な表現を与えることができ、食器や装飾品、建築材料などの製品では芸術的な価値を付加できます。
セラミック加工の難しさ
セラミックの加工はその硬度の高さから、通常の金属加工技術では加工が難しく、専門的な技術や特殊な機器が必要です。また脆さも課題であり、大きな力が加わると割れやすい性質があります。
しかし近年は、3Dプリンティングしやすい新たなセラミック材料や、加工の難点をクリアする最新型の3Dプリンティング技術も登場し、セラミックの3Dプリンティングの流れは大きく変わりつつあります。
セラミック業務用3Dプリンターの用途
セラミック業務用3Dプリンターは、各種専門分野で幅広い用途で用いられています。主な使用用途、活用事例を見ていきましょう。
使用用途
医療業界においては、3Dプリンティングによってインプラントや人工骨などの医療部品の製造が行われています。装飾業界では、複雑でオリジナルなデザインを実現するために、セラミック3Dプリンターが使用され、高い精度で手の込んだデザインや独創的な製品を製造できるのが特長です。
製造業では、セラミック部品を使って既存の部品を代替するときに、セラミック3Dプリンターが役立っています。
造形できるもの
セラミック業務用3Dプリンターが造形できる主な構造として、以下が挙げられます。
格子構造
微細で複雑な格子状のパターンを持つ構造です。3Dプリンターは、特に複雑な形状や軽量かつ強固な格子構造を実現するために使用されます。
網目状構造
規則正しく配置された縦横の要素や線が交わり、網目状のパターンが形成される構造です。3Dプリンターを使用して網目状構造を作成することは一般的であり、特に部品やオブジェクトのデザインで軽量性と強度を両立させるために利用されます。
モスアイ構造
非常に微細で規則的なパターンを持つ構造のひとつです。セラミックの3Dプリンターを使用することで、微細なディテールを持つ複雑なモスアイ構造を造形できます。
流路構造
流体の制御や分配が必要な機械部品やマイクロ流体デバイスの製造に活用される構造体です。微細なチャネルや管路を高い精度で3Dプリントすることで、流体の動きを最適化し、効率的な機械機能を実現します。
活用事例
セラミック医療部品
セラミックは生体適合性に優れ、医療部品に広く利用されています。例としては、インプラント、人工関節、注射針やシリンジ部品、内視鏡のハウジング、心臓血管ステントなどです。
セラミック機械部品
セラミックは高い硬度と耐摩耗性、電気絶縁性を持っており、半導体や電子部品など、さまざまな機械部品の製造に適しています。
セラミック構造部品
上述した格子構造やモスアイ構造、さらにジャイロイド構造などの構造部品の製造です。航空宇宙産業、科学分野、各種研究機関などで活用されています。
セラミック業務用3Dプリンターを製造するメーカー
セラミック業務用3Dプリンターを製造する主なメーカーとして、株式会社エスケーファインとBMFをご紹介します。
エスケーファイン
エスケーファインは、3Dセラミックス造形に特化した会社で、顧客のニーズに合わせて3Dセラミックス造形装置の開発・販売を行っています。
エスケーファインが提供する主な3Dプリンターは、高精細モデル「SZ-1100」、中型/小ロットモデル「SZ-2500」、量産対応モデル「SZ-6000」などです。
「SZ-1100」は高精細造形と多品種少量の造形に適しているモデルで、15µmの最小レーザースポット径を採用し、安定した微細造形ができます。「SZ-2500」は中型モデルで、可変式のレーザースポット径(50~300µm)により微細造形から中型サイズまで造形可能です。
「SZ-6000」は新型DLPマルチスキャン方式を使用したモデルで、従来の描画品質を維持しつつ、高速かつ大量の大面積造形に向きます。
BMF
BMFは、マイクロスケール3Dプリンターの販売、3Dプリンターによる造形モデルの製作、3D造形材料の開発を主な事業とする会社です。BMFの3Dプリンターは、「超高解像度モデル」「スタンダードモデル」「高解像度+高コストパフォーマンスモデル」の3つが提供されています。
「超高解像度モデル」は、2µm(S230/S130)、最小部材サイズ30µmで、極めて高い精度を実現するモデルです。「スタンダードモデル」は10µm(S240/S140)、最小部材サイズ60µmで、高速かつ大サイズの造形に向きます。
「高解像度+高コストパフォーマンスモデル」は、25µm(P150)、希望公差±50umで、コスト重視(コストダウン目的)のモデルです。
セラミックは非金属性の無機質材料で、硬度、耐熱性、耐摩耗性、絶縁性、耐蝕性など多くの特徴があります。軽量かつ強靭で、高品質な仕上げが可能で、医療部品や機械部品などに利用されています。ただし、セラミックの加工は通常の金属加工技術では難しく、専門的な技術や3Dプリンティングが必要です。
セラミック業務用3Dプリンターは医療部品や装飾品、機械部品などの製造に活用され、格子構造や網目状構造、モスアイ構造、流路構造など複雑な形状を実現します。 加工が難しいと言われていたセラミックですが、近年では3Dプリンティングしやすい新たなセラミック材料や、加工の難点をクリアする最新型の3Dプリンティング技術も登場し、エスケーファインやBMFなどセラミック業務用3Dプリンターを製造するメーカーもあります。