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業務用3Dプリンター メディア厳選おすすめメーカー3選

光造形方式業務3Dプリンターの仕組み・特徴および注意点

2023/11/28

光造形3Dプリンターとは、熱溶解積層方式の3Dプリンターと並ぶ有名な造形方式です。光造形方式は高品質な3Dプリント物体を作成するための有力な技術であり、特にデザインや複雑な部品の製造に向いていますが、材料や後処理に注意が必要です。

光造形技術とは?

3Dプリンターの方式のひとつに光造形方式があり、これは液体樹脂をUV光で硬化させて造形する方法です。光造形技術の歴史とそれを使用した3Dプリンターの特徴をご紹介します。

光造形技術

光造形技術は、1980年に日本人の小玉秀男氏が「立体図形作成装置」として特許出願したのが始まりです。ただし、特許としては成立せず、その後、3Dプリンタメーカーとして有名な3Dsystemsの創業者であるチャック・ハル氏がSLA方式で特許を取得し、実用化に成功しました。

2006年にSLA方式の特許が切れて以降、さまざまなメーカーにおいて3Dプリンターの開発が可能となり普及が加速しました。

光造形3Dプリンターとは

光造形3Dプリンターとは、熱溶解積層方式の3Dプリンターと並ぶ有名な造形方式です。

光造形方式は、紫外線に反応して硬化する性質をもつレジンと呼ばれる材料を使い、UV光を造形物に沿って照射し、レジンを固めて造形します。レジンが満たされたプールの中で造形されるため、ほかの造形方法と違いサポート材を抑えて造形が可能です。
ただし、サポート材と造形物が一緒の材質になるため、手作業で取り除く必要があります。

使用するレジンによっては、光硬化性の樹脂に熱硬化の樹脂をまぜたり、金属粉を混ぜたりすることで、異なる特徴をもたせることもできます。

光造形方式業務3Dプリンターの種類

光造形方式の業務用3Dプリンターの中でも種類があり、それぞれに特徴が異なります。

UV光の照射方向

UV光を上から照射する

レジンで満たしたプール内にUV光を上から照射し、ビルドプレートを下に配置する方法です、ボトムダウン式や自由液面法と呼びます。プール内はレジンで満たされているため、浮力もあいまってサポート材は最小限ですみます。
一方で、プール内を満たすために大量のレジンが必要である点と、時間経過によってレジンが劣化してしまうことがあるため、造形時のパラメータ調整、適切な材料管理が必要な方法です。

UV光を下から照射する

レーザー光を下から照射し、ビルドプレートを造形物の上に配置する方法をボトムアップ式や規制液面法などと呼びます。
硬化したレジンを上に引き上げていくため、プールしておくレジンは少なくて済みます。レジンは開封後の劣化が早いという特徴を持ちますが、この方法を採用すると、材料の劣化を最小限にできます。

ただし、サポート材で吊り下げるため、大きいパーツには不向きです。Z方向の寸法精度がうまく出せないため、用途に応じて使いわける必要があります。

UV光の照射方式

UV光の出力方式によっても分けることができ、そのうちの3種類の方式と特徴をご紹介します。

SLA方式(Stereo Lithography Apparatus)

SLA方式では、レジンに点状のUVレーザーを照射し、1層ずつ樹脂を固めて積み重ねて造形します。レーザーを1点に集中させることで、複雑で細かい造形が可能です。また、レーザー光の出力を大きくしやすいため、大型の造形物も作る場合にも適しています。

ただし、1点ずつ硬化させていく仕様上、造形に時間がかかるというデメリットがあります。この課題を解決するため、複数のレーザーを持つ機種や、ミラーで反射させて描画を早める機種も登場しています。

DLP方式(Digital Light Processing)

DLP方式では、レジンに面状にUV光を照射して造形します。この方式にはプロジェクター光を使うため、1度に広い範囲を照射可能で、SLA方式に比べて短時間で造形できる特徴があります。
また、細かな調整が必要ですが、複数の造形物を作れる点もメリットのひとつです。

しかし、造形物が大きくなるほど解像度が低下し、造形位置によって歪みが出てしまうデメリットがあります。

LCD方式(Liquid Crystal Display)

LCD方式もDLP方式と同様に、面状に光を照射する方式ですが、液晶パネルのLCDパネルを用いて照射します。高解像度のLCDパネルを使用することで、プロジェクター光のような歪みや解像度の低下を克服しました。ただし、LCDパネル自体が熱や紫外線に弱いため、定期的な交換が欠かせず、ランニングコストは比較的高い傾向にあります。

光造形方式業務3Dプリンターの造形物の特徴

造形方式によって、造形物の出来上がりや表面の状態は異なります。光造形方式で造形した際に見られる特徴をご紹介します。

光造形方式の造形物の特徴

表面の仕上げが滑らか

熱溶解積層などの造形方式の場合、積層の跡が残ってしまう場合がありますが、光造形方式の場合は、この跡が目立たず、滑らかな仕上がりとなります。
層と層の結合がしっかりとしている証拠で、塗装や耐久性の向上にも役立ち、おもにデザイン性に優れた部品や製品に適用可能です。

透明な部品も作れる

材料となるレジンの選択肢は豊富にあり、材料次第では透明な部品を作ることも可能です。内部構造を確認するために、筐体を透明な樹脂で試作する場合などに使用できます。

複雑な部品も作れる

SLA方式を用いると、複雑で細かい造形が可能です。機械では再現が難しい、小さくて複雑な部品の製造にも利用することができます。

高速かつ、複数の部品も一気につくれる

DLP方式、LCD方式では、面状にUV光を照射するため、複数の部品を同時に製作可能です。一つひとつ印刷する必要がないため、印刷時間の短縮にも繋がります。

光造形方式のデメリット

耐候性が弱い

材料となるレジンは、太陽光などの紫外線や湿気に弱いことが一般的です。屋外で長期間使用するのには向いていません。
屋外使用が必要な場合は、耐候性のレジンを使用するか、塗装やコーディングといった後加工が必要です。

サポート材の除去などの後処理に手間がかかる

印刷後の造形物には、未硬化のレジンがつくことや、大型の部品の場合は完全に硬化していない部分もあります。そのため、造形後の洗浄と必要に応じて二次硬化を行う必要があります。洗浄しきれていないと、造形物が溶けてしまう可能性があり、注意が必要です。

また、製造の都合上、サポート材も造形物と同じ材質のものを使うため、本体に影響を与えないように慎重に処理することが重要です。


光造形技術は、3Dプリンターの一種で、液体樹脂をUV光で硬化させて物体を作り出す方法です。光造形方式で作られた物体は、滑らかな表面仕上げを持ち、層同士の結合が強固です。このため、デザイン性に優れた部品や製品に適しています。

材料となるレジンは紫外線や湿気に弱いため、屋外での使用には向いていません。耐候性のレジンを使用するか、後処理が必要で、サポート材の取り扱いにも注意が必要です。 光造形方式は高品質な3Dプリント物体を作成するための有力な技術であり、特にデザインや複雑な部品の製造に向いていますが、材料や後処理に注意が必要です。

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