3Dプリンターについて

大型業務用3Dプリンターの主な用途は？選び方についても解説

2023/11/29

大型業務用3Dプリンターは、革新的なテクノロジーの一環として、多くの産業に大きな変革をもたらしています。これらのプリンターは、通常の家庭用3Dプリンターでは難しい大型の造形物を効率的に製造できるため、デザイナーやエンジニア、製造業界に新たな可能性を提供しています。

また、鋳造用モデルの製作や医療分野での活用など、多岐にわたる用途が存在します。この記事では、大型業務用3Dプリンターの主な用途と、選び方について詳しく解説していきます。

大型業務用3Dプリンターの特徴と用途

最近、3Dプリンターの普及が急速に進み、特に大型業務用3Dプリンターは、かつては手作業でしか実現できなかった大きな造形物を効率的に製造できるため、産業界において大きな変革をもたらしています。

大型業務用3Dプリンターは、一般的に大きな造形物を作成できる3Dプリンターを指しますが、その具体的な定義は存在しません。しかし、一般的な基準として、最大造形サイズとして一辺が30cm前後またはそれ以上のものが大型と見なされます。このような大型3Dプリンターは、主に業務用途に使用され、それゆえに「大型業務用3Dプリンター」と呼ばれています。

大型業務用3Dプリンターは多岐にわたる用途があり、大きなフィギュアやインテリアアイテムなど、一般の家庭用3Dプリンターでは難しい大型の造形物を製造する際に役立ちます。さらに、鋳型として使用するための砂型なども効率的に作成できるため、製造業においても重要な役割を果たしています。また、小さな造形物を大量に一度に製造する場合にも非常に有用です。

大型業務用3Dプリンターは、従来の手作業に比べて迅速かつ精密な造形が可能であり、製造業や設計業界において大きな利点を提供しています。この技術の普及により、新たなデザインや製品の創造が可能になり、革新的な製品開発やプロトタイプの製作が容易になりました。そのため、大型業務用3Dプリンターは、多くの業界で積極的に活用され、今後の製造技術の進化に貢献していくことでしょう。

大型業務用3Dプリンターの選び方と注意点

大型業務用3Dプリンターの価格帯は、家庭用3Dプリンターと比べて高額であり、産業利用においてはさまざまな要因によって価格が変動します。以下は一般的な価格帯の一例です。

大型業務用3Dプリンターの価格帯

50万円～100万円程度

産業利用向けの比較的小型の大型3Dプリンター。小規模なプロトタイピングや試作品の製造に適しています。

数百万円以上

大規模な製造を行うための大型3Dプリンター。価格は機能や性能に応じて変動します。中規模の製品製造や建築業界などで利用されます。

500万円以上

着色可能であり、金属やセラミックなどの特殊な素材に対応した3Dプリンターの価格帯。高度な産業用途や医療分野などで使用されます。

1000万円以上

高性能かつ高精度な3Dプリンター。高度な精密部品や医療機器、航空宇宙産業などの分野で必要とされる場合があり、ランニングコストも高額です。

大型業務用3Dプリンターの価格は、プリンターの機能、性能、対応素材、造形サイズ、納期などに影響されます。また、購入だけでなく、運用にかかるランニングコスト（材料、電力、メンテナンスなど）も考慮する必要があります。

大型業務用3Dプリンターの印刷方式

大型業務用3Dプリンターの印刷方式には主に以下の2つがあります。

FDM（熱溶解積層法）

ABS樹脂やPLA樹脂などの固形材料を高温で溶かし、層を重ねて造形する方式。一般的な家庭用3Dプリンターにも使用されており、市販の材料を使用するため、一般的な造形物を作成するのに適しています。

光造形方式

光を照射して造形材料を硬化させる方式。積層痕が目立ちにくく、高精度な造形が可能です。微細部の再現性が高く、特殊な素材にも対応できる特徴があります。

選ぶ際の注意点

大型業務用3Dプリンターを選ぶ際には以下の点に注意することが重要です。

造形物のサイズ

造形エリアの大きさは、使用する造形方式によって異なるため、プロジェクトに適したサイズを持つ3Dプリンターを選択することが重要です。

用途と求められる機能

寸法精度、微細部の再現性、表面仕上げ、価格、納期など、プロジェクトの要件に合った機能を考慮する必要があります。

QCD項目と優先度

QCDは品質（Quality）、費用（Cost）、納期（Delivery）の頭文字で、これらの要素の優先順位を設定し、適切な選択を行うことが重要です。プロジェクトの要求に合わせてバランスを取る必要があります。

以上の要因を考慮して、大型業務用3Dプリンターを選ぶことで、効率的で成功するプロジェクトを実現することができます。

高品質な大型造形を可能にする業務用3Dプリンター

ここでは、高品質で主要な大型業務用3Dプリンターのいくつかをご紹介します。

Stratasys F190CR

Stratasys F190CRは、形状の試作品から最終製品まで、幅広い用途に対応する高性能な3Dプリンターです。このプリンターはFDM（熱溶解積層法）方式を採用しており、汎用樹脂である「ABS-M30」やカーボンファイバーを混ぜた「ABS-CF10」など、多様なエンジニアリングプラスチックに対応しています。これにより、強度、剛性、耐薬品性に優れたモデルを製造できます。

さらに、新たに対応した「FDM® Nylon-CF10」は、高強度の複合材料で、金属パーツに代わるプラスチックパーツを簡単かつ迅速に製造できます。ストラタシスの特許技術であるヒートチャンバー機構を搭載しており、安定した高品質モデルの造形が可能です。このプリンターは、初めての導入から高度なプリントまで幅広いニーズに対応します。

SLA 750

SLA 750は、光造形方式を採用し、積層造形の生産性、速度、信頼性、自動化を大幅に向上させるプリンターです。製造メーカーである3D Systemsは、光造形技術の先駆者であり、感光性樹脂テクノロジーの革新的リーダーでもあります。

SLA 750は、世界初の同期式デュアルレーザSLAプリンターであり、通常のSLAプリンターと比較して最大2倍の速度と最大3倍のスループットを実現します。これにより、業務プロセスを前例のない速さで実行できます。高速かつ高品質な造形が可能であり、大規模プロジェクトに適しています。

これらの大型業務用3Dプリンターは、異なる用途や要件に対応するために設計されており、高度な製品開発やプロトタイピングに貢献します。選択する際には、プロジェクトのニーズに合ったプリンターを検討することが重要です。

大型業務用3Dプリンターは、大きな造形物を効率的に製造できるため、産業界に大きな変革をもたらしています。価格は50万円から数百万円以上まで幅広く、用途や機能に応じて選ぶ必要があります。主な印刷方式にはFDMと光造形方式があり、各方式には特長があります。

選ぶ際には、造形物のサイズ、用途、求められる機能、QCD項目などを考慮し、プロジェクトに最適なプリンターを選ぶことが重要です。高品質な大型造形を可能にするプリンターとして、Stratasys F190CRとSLA 750があり、それぞれ異なるニーズに対応しています。これらのプリンターは、高度な製品開発やプロトタイピングに貢献しています。