業務用3DプリンターG-ZEROが実現した超高速で美しい仕上がり
2024/01/24
G-ZEROは、超高速なFFF方式の業務用3Dプリンターです。製造業やデザイン分野における需要に応え、設計と製造の現場に革命をもたらします。このプリンターは、時間的な制約を取り払い、高速かつ高品質なプリントを可能にする先進的な技術と特長を備えています。ここでは、G-ZEROの利点とその支える技術について詳しく紹介します。
G-ZEROは高速が特徴の業務用3Dプリンター
G-ZEROは、製造業やデザイン分野での需要に応える高速性を持つ、業務用3Dプリンターとして注目されています。ここではG-ZEROの主な特徴と、G-ZEROを提供するメーカーについてご紹介します。
◇G-ZEROを提供する株式会社グーテンベルク
株式会社グーテンベルクは、3Dプリンター技術を活用して、製造や加工の新たな可能性を追求し、それを広めることを使命とする企業です。同社はDfAM(付加製造のための設計)の原則を採用し、製品開発プロセスを変革し、より面白い製品を生み出す土壌を築くことを目指しています。
大田区を拠点とし、ハードウェアの加工・製造プロセスに特化したネットワークを構築しています。このネットワークを通じて、試作開発から製造に至る一連のプロセスを効率化し、製品の実現可能性を向上させることを重要視しています。
株式会社グーテンベルクの3Dプリンター「G-ZERO」は、自社のコア技術と加工ネットワークを駆使して開発されました。この製品は、グーテンベルク社がDfAMの理念に基づき、製造業界を変革し、新たな製品を生み出すために取り組む姿勢を象徴しています
◇G-ZEROとは
G-ZEROは、FFF(Fused Filament Fabrication)式の3Dプリンターで、超高速造形を実現する特徴があります。このプリンターを導入することで、速度や時間を制約とせずにアイデアを現実の形にすることができます。設計や製造の現場での挑戦をサポートし、素早いプリントが可能です。
G-ZEROは高速であるだけでなく、造形物が美しい仕上がりとなります。堅牢なボディ、軽量ツールヘッド、制振技術、そして自動ベッドレベリングの組み合わせにより、驚くほど綺麗なプリントが可能です。
さらに、G-ZEROはWEBユーザーインターフェース(UI)を通じて遠隔操作ができます。同じLAN内にあるPCやタブレットからブラウザを使ってプリンターを操作し、造形中の情報を監視できます。これにより、プリンターの前に常に立っている必要がなく、作業をスムーズに進めることができます。
G-ZEROは国内で設計と製造が行われており、トラブルが発生した場合、開発者が直接サポートを提供します。国内での設計・製造とサポート体制により、信頼性とサポートの充実を実現しています。このプリンターは、高速かつ高品質な造形を実現し、製品開発やプロトタイピングのプロセスを大幅に向上させるツールとして利用されています。
G-ZEROの利点と性能を支える技術
画像出典先:株式会社グーテンベルク
G-ZEROの利点と性能を支えるためには、先進的な技術が欠かせません。この業務用3Dプリンターは様々な利点を持ち、成功の背後には革新的な技術が働いています。
◇G-ZEROの様々な利点
優れた機能と性能を持つ、G-ZEROには様々な利点があります。以下で詳しく解説します。
中量生産の製造手段に向く
中量生産は、大量生産と比較すると生産効率が悪く、材料や原料の大量仕入れが不可能なため、コストが増えてしまうのがデメリットです。しかし、中量生産の問題点は、生産速度を上げ生産コストを削減すれば解決することが可能です。超高速造形が可能なG-ZEROであればコスト削減ができるため、販売個数や製品の価格にかかわらず、自由な製品開発と製造販売を実現できます。
時間的な制約に縛られない
大型造形になると、造形物を作るのに数十時間かかることもあります。G-ZEROは最高速度が500mm/sなだけでなく、最高速加速度も20,000/s2を誇るため、造形時間を約3分の1に短縮できます。企業によっては、社内規定により機械の利用時間が制限されていることもありますが、G-ZEROを導入すれば、スピーディーなプロトタイピングと製品開発で、時間的な制約に縛られることがなくなります。
設計・開発のサイクルの省力化・高速化
製品開発は、設計→試作→評価→改良の流れで行われますが、専門業者に製品開発を依頼すると、打ち合わせや配送に時間にも必要です。超高速造形ができるG-ZEROを導入すれば、設計・開発のサイクルの省力化と高速化を図れ、打ち合わせや配送も不要になるため、設計したその日に製品を完成させることも可能です。
◇超高速で優れた精度を実現する技術
G-ZEROが超高速で優れた精度を実現するための技術は、以下の要素に基づいています。
堅牢なボディと軽量ヘッド
G-ZEROは金属製の堅牢なボディと、3Dプリントで製造された軽量なツールヘッドを組み合わせています。この組み合わせにより、プリンターは高速で動作する際にも安定性を保ち、振動を最小限に抑えます。また、G-ZERO自体がツールヘッドを製造する能力を持っており、これが高速造形をサポートする要因となっています。
先進的な制御技術
高速でツールヘッドを移動させると、振動が生じ、造形物の品質に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、G-ZEROは共振を避ける制御技術を採用しており、振動を最小限に抑えています。この制御技術により、プリンターは高速で作業する際にも静かで、振動の影響を受けずに安定した造形が可能です。
自動ベッドレベリング
高速造形を実現するためには、フィラメントがベッドに確実に定着することが不可欠です。G-ZEROは自動ベッドレベリング技術を採用しており、造形開始時にプリンターベッドの水平を自動的に調整します。これにより、高い精度と安定性を持った造形が可能となります。
G-ZEROを現場に活用する事例
3Dプリンターを選ぶ際は、導入事例も参考になります。こちらでは、G-ZEROを活用した事例を3つご紹介いたします。
◇フランジ付きパイプ治具
金型加工会社から依頼され制作した水平だし治具で、フランジ付きパイプを放電加工するために使うものです。午前中に製作の依頼を受け、午後は造形を完了し、その日のうちに実使用もできました。
・寸法:130mm×40mm×60mm
・造形時間:1時間2分
・使用した材料:ASA樹脂
◇メガネのデザインの試作
メガネの試作は通常2~3日かかり、特にFFF方式3Dプリンターは、メガネの試作造形には不向きといわれています。G-ZEROはFFF方式にもかかわらず、メガネの試作品の造形時間はたったの3時間です。G-ZEROを活用することで試作品が当日中に完成できるようになり、材料費もこれまでの約1/10に抑えられるようになりました。
・寸法:155mm×46mm×31mm
・造形時間:3時間
・使用材料:PLA樹脂
◇薄肉加工用の割り治具
ふたつのパーツを造形し、はめ合いと後付け加工を施して作った薄肉加工用の治具で、旋盤で金属部分を薄く切削するときに、振動が原因で精度が落ちないように内側からチャッキングするものです。G-ZEROであれば、はめ合いや後付け加工が必要な治具でも、正確に造形できます。
・寸法:44.4mm×44.4mm×50mm
・造形時間:57分
・使用材料:ASA樹脂
これらの事例は、G-ZEROがエンジニアやデザイナーだけでなく、生産現場においても利用価値が高いことを示しており、設計から製造までのプロセスを迅速化し、効率化する手段として活用されています。
G-ZEROは高速な業務用3Dプリンターで、製造業やデザイン分野において注目されています。株式会社グーテンベルクが提供するこのプリンターは、DfAM(付加製造のための設計)を活用し、製品開発プロセスを効率化することを目指しています。国内設計と製造による信頼性とサポート体制も特徴です。
G-ZEROの利点は多岐にわたり、中量生産向きの高速性、時間的な制約から解放されること、設計・開発のサイクルの短縮などが挙げられます。この高速性と品質の実現には、堅牢なボディと軽量ヘッド、先進的な制御技術、自動ベッドレベリングといった技術要素が貢献しています。
実際の事例では、フランジ付きパイプ治具の迅速な制作、メガネのデザイン試作の大幅な時間短縮、薄肉加工用の割り治具の高精度造形など、G-ZEROが生産現場や製品開発プロセスにおいて優れた成果を上げています。これらの事例から、G-ZEROはエンジニアやデザイナーだけでなく、製造業界でも利用価値が高く、プロトタイピングから製品製造までのプロセスを迅速化し、効率化する優れたツールとして活用されていることがわかります。