自動車業界の3Dプリンター活用事例を紹介!欧米を中心に促進
2024/01/25
自動車業界では、欧米を中心に3Dプリンターが活用され、試作から最終製品や小ロット生産まで拡大しています。欧米自動車メーカーは3Dプリンターに特化した研究開発センターを設立し、積極的な投資と先進的な取り組みが進んでいます。
国内でも、生産終了車の補修部品を3Dプリンターで再生産し、新規金型投資の抑制や金型の保管費用の削減などが可能です。EV車では3Dプリンターが一体成形により軽量化に寄与し、部品製作や試作においても迅速な開発が進みます。
自動車業界における3Dプリンター活用の取り組み
欧米を中心に活用が促進
製造業界では、主に試作目的で3Dプリンターを使用するケースが多く見られ、コストや品質などの観点から量産での活用は難しいとされてきました。しかしながら、近年では最終製品や量産用途での3Dプリンターの導入事例が増加しています。
特に欧米の自動車業界では、3Dプリンターに特化した研究開発センターを設立するなど、積極的な投資が広がり、先進的な取り組みが進んでいます。
国内でも、生産終了となった車の補修部品を3Dプリンターで再生産し商品化する例が見られます。このような小規模な量産において3Dプリンターを利用することで、新規の金型投資を抑え、金型の保管費用負担も低減できるなど、さまざまなメリットが存在しています。
EV車の軽量化
3Dプリンターを使用すると、いわゆる一体成形が可能となります。これにより、多くのボルトが不要になります。EV車のガソリンエンジンにおいて、4~5kgもの重量がボルト類によって占められていると言われ、それが減るだけでも非常に魅力的です。さらに、軸部分の試作品では60%の軽量化に成功したケースもあります。
小ロット生産・迅速な開発
部品の造形だけでなく、小ロットの簡易な樹脂型や型製作のためのマスターモデルも、3Dプリンターによって製作可能です。自動車のような開発スピードが迅速で高品質なものづくりが求められる現場では、3Dプリンターが非常に適しており、積極的な活用が設計開発の速度と深さを向上させ、より高度で精度の高い製品の鍵となります。
現場に3Dプリンターが備わっていない場合でも、3Dプリンター出力サービスを利用することで、試作に時間をかけずに開発を進めることができます。
自動車業界の3Dプリンター活用事例
大手の自動車メーカーは、国内外で3Dプリンターを用いた自動車製造に着手しています。これら企業は、どのように3Dプリンターを活用しているのでしょうか?まず、各社の3Dプリンター活用の事例をご紹介いたします。
トヨタ自動車
トヨタ自動車では、「GRヘルテージパーツ」というプロジェクトがスタートしています。このプロジェクトは、愛車に思い入れを持ち、その車に乗り続けたいと願う顧客のニーズに応えるために、復刻部品を生産・販売する取り組みです。
この取り組みでは、1986年に発売されたスポーツカー「A70スープラ」の復刻部品が市場に登場し、大きな注目を集めています。
従来、自動車メーカーはモデルチェンジに伴い生産終了となると、金型の管理や在庫の保管などが課題となりました。しかし、このプロジェクトでは、3Dプリンターを活用して顧客の要望に合わせた生産体制を実現し、これらの課題に対処しています。
BMW
BMWは、BMW i8ロードスター向けに数千個の金属部品を3Dプリントした最初の自動車メーカーとして注目されています。これらの部品は、アルミニウムのPBF(Powder Bed Fusion)を使用して製造されたもので、ソフトトップ用の3Dプリント固定具です。
2018年には、BMWは過去10年間で100万以上の部品を3Dプリントしたと発表し、その中で100万番目の部品はBMW i8ロードスター向けにHPマルチジェット・フュージョン技術を使用して連続生産されたナイロン製ウィンドウガイドレールでした。
BMWは2018年には200,000個以上の部品を3Dプリントし、これは2017年から42%以上増加しています。同社は今後10年以内に、各車両に数千個の3Dプリント部品が組み込まれると予測しています。
ブガッティ
イタリアの自動車メーカー、ブガッティは、一般道では使用できないサーキット専用のハイパーカー「Bolide」を限定40台で市販化すると発表しました。この5億円を超えるハイパーカーには、多くのパーツが最新の3Dプリンティング技術を用いて生産されています。
Bolideのパーツに最新の3Dプリンティング技術を導入した目的は、超軽量かつ薄型でありながらも極めて剛性の高いパーツを実現することです。ブガッティは、チタンなどの軽量で高強度な材料を使用し、また、3Dプリント技術を駆使して複雑な3次元構造の自動車部品を製造しています。
ブガッティは、チタン製のパーツだけでなく、チタンとコイル状のカーボンを組み合わせたハイブリッド素材の3Dプリントパーツの開発にも成功しました。独自に研究開発を進める3Dプリンティング技術は、ブガッティの強みとなっています。
自動車業界では、欧米を中心に3Dプリンターの活用が進み、試作から最終製品や小ロット生産まで広がっています。特に欧米自動車メーカーは3Dプリンターに特化した研究開発センターを設立し、積極的な投資と取り組みを行っています。
例えば、トヨタでは愛車ユーザーのニーズに応える「GRヘルテージパーツ」プロジェクトを展開し、BMWやブガッティも最新の3Dプリンティング技術を活用して車両の部品やハイパーカーの製造を進めています。
Dプリンターは製品開発の速度と深さを向上させ、試作から量産まで柔軟かつ効率的な生産体制を築く鍵となっています。