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業務用3DプリンターにおけるCAD/CAMとは?使用方法についても解説

2024/03/27

業務用3DプリンターにおけるCAD/CAMは、製品設計から製造までの重要なプロセスを支援する技術です。CADは設計図を作成し、CAMはその図面をもとに加工プログラムを作成します。CADでモデルを設計し、CAMで加工方法を指定してプリンターに送ることで、部品の製造が可能になります。

業務用3DプリンターにおけるCAD/CAMとは?

業務用3Dプリンターを導入し活用するためには、ある程度の基礎知識が必要です。こちらでは業務用3Dプリンターの導入をご検討中の方のために、CAD/CAMの概要と使用方法を解説いたします。最初に、CADとCAMの違いをご説明いたします。

◇CADとは?

CADは、Computer Aided Designの略語で、コンピューターで製図する際に使うツールのことです。CADには2D CAD、3D CADの2種類があります。

2D CAD

立体を面図、側面図、平面図など分けて、平面上で製図を行います。立体的な視点で形状を把握できないため、想像力や空間の把握能力が必要です。

3D CAD

コンピューターを使って、立体を描きます。表現が難しい複雑な立体にも対応でき、多角的なアングルから形状を把握できるのがメリットです。

業務用3Dプリンターを使用する際は、事前にソフトを使って3Dモデルのデータを製作する必要があります。その際に使うツールが、3DCADソフトです。3DCADソフトを使うと、データの管理や共有も簡単になり、修正や転用もしやすくなるメリットがあります。

◇CAMとは?

CAMは、Computer Aided Manufacturingの略語で、日本語ではコンピューター支援製造と訳されます。簡単にいうと、工作機械で必要なプログラムを作り出すためのツールのことです。CADデータだけでは設計図しか作成できないため、CAMを使ってプログラムを作成し工作機械で加工方法を読み込みます。データ型には主に3種類あり、それぞれの違いは次のとおりです。

フィーチャ型

あらかじめソフトが用意したフィーチャ(部品)を積み重ねてデータを作成します。主に、2D加工や穴あけ加工などの部品加工に使用されます。

サーフェス型

サーフェス(平面)を曲げたり伸ばしたりして貼り合わせ、立体のデータを作成します。誤差計算を行うことで、精度の高い加工プログラムや複雑な形状を作成できますが、計算速度が遅いのがデメリットです。

ポリゴン型

多角形を貼り合わせて、立体のデータを作成します。高精度を維持するのが難しく、平面へ変換する際に誤差が発生する可能性がありますが、計算速度が速いのが特徴です。

業務用3Dプリンターで使用する設計図をCADで作成する方法とは?

画像出典先:フォトAC

業務用3Dプリンターで使用する設計図をCADで作成する方法には、3DCADソフトを利用してモデリングする方法と、2DCADのデータを3Dに変換する方法があります。それぞれの方法のメリットとデメリットは、次のとおりです。

◇3DCADソフトを利用してモデリングする

3DCADソフトは立体空間上に設計図を作成できるため、幅広い造形物を自由に設計できます。視覚的な表現がしやすく、完成形をより明確に把握でき、問題点の洗い出しやシミュレーションもしやすいのも利点です。

3DCADソフトを利用するにはスペックの高いコンピューターが必要なため、導入費用が高くなる傾向にあります。3DCADソフトを使いこなすためには操作方法を覚えなくてはいけないので、慣れるまでは多少の時間が必要です。

◇2DCADのデータを3DCADに変換する

2DCADのデータを3DCADに変換する方法は、製造現場で採用されている方法で、手書きの図面から移行しやすいのが特徴です。ソフトが安く元データが手配しやすいため、導入しやすいメリットもあります。ただし、図面の変更や修正に時間がかかり、3Dの形状を忠実に再現できないリスクがあります。

業務用3DプリンターにおけるCAMの使用方法とは?

業務用3Dプリンターを導入する際は、事前にCAMの使用方法を理解しておくことも大切です。こちらでは、CAMを導入してCAMデータを出力するまでの流れをご説明いたします。大まかな流れは、以下のとおりです。

◇CAMのインストール・設定をする

業務用3Dプリンターによってデータのやり取りの仕方が違うため、事前に設定が必要です。CAMをインストールしたら、設定を行います。使う機器ごとに用意されているプリセットを指定すれば、設定が簡単です。

◇素材を設定する

造形物に使う素材を選びます。業務用3Dプリンターで使う素材はフィラメントといい、選ぶ素材によって加工方法が違ってきます。加える熱の温度、切削の強さなど決定する重要なポイントにもなるため、素材は慎重に設定しましょう。以上が初期設定です。

◇CADで作成した設計図をCAMに読み込む

CADデータが正常に読み込まれたら、CAMソフトウェア上で加工方法を設定します。工作機械で切削する場合は、切削精度や加工範囲などを指定します。3Dプリンターで積層する場合は、層の厚みや積層精度を設定します。

加工方法が設定されたら、必要に応じて加工パラメータを調整します。これには、切削速度や送り速度などが含まれます。最後に、CAMソフトウェアで加工シミュレーションを実行します。これにより、実際の加工プロセスがどのように進行するかを確認し、必要な修正を行うことができます。

シミュレーションが完了したら、CAMソフトウェアは工作機械に渡すための加工プログラムを生成します。これにより、工作機械がCADデータに基づいて部品を加工する準備が整います。具体的には、積層の厚みや切削加工の精度などです。

◇CAMデータを出力する

CAMデータを保存します。造形物を作る際は、CAMデータを出力し3Dプリンターに作動させます。

CAD/CAMが複合したソフトも便利

CADとCAMは異なるツールですが、CADとCAMが複合した便利なソフトも販売されています。CAD/CAMが複合したソフトを選ぶ主なメリットは、次の3つです。

◇データの整合性がとれる

CADとCAMの相性が悪いと、CADで作成した設計図をCAMに読み込ませるときに不具合が生じる可能性があります。CAD/CAMが複合したソフトであれば、常にデータの整合性がとれ、不具合が生じる心配がありません。

◇図面の修正がしやすい

CAMに読み込ませた後に図面の修正が必要になった場合、再度CADで図面の修正を行わないといけません。CAD/CAMが複合したソフトであれば、モードに切り替えるだけでCAD図面の修正ができます。

◇作業効率がアップする

3Dプリンターでたった10cmの造形物を作成するのに10時間かかることもあります。AD/CAMが複合したソフトは設計から出力までを1本のソフトでできるため、作業がスムーズで作業時間を短縮できます。


業務用3Dプリンターの導入にはCAD(Computer Aided Design)とCAM(Computer Aided Manufacturing)の知識が必要です。CADは製図に使われ、2Dや3Dの図面を作成します。3Dプリンターでは、CADで作成したモデルを使って造形物を製作します。

CAMは加工プログラムを作成するツールで、CADデータから加工方法を指定し、工作機械に読み込ませます。CADとCAMが複合したソフトもあります。業務用3DプリンターでCAD/CAMを使う際は、CADで設計図を作成し、CAMで加工方法を指定して加工プログラムを生成します。

CAD/CAMが複合したソフトを利用すると、データの整合性が取れ、図面の修正が容易になり、作業効率が向上します。

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