個人の試作でも業務用3Dプリンターでの制作を依頼できる?
2024/04/30
個人が手軽に試作品を製作する際、家庭用3Dプリンターの限界や制約があります。しかし、業務用3Dプリンターを利用すれば、高度な精度や材料の選択肢が広がります。そこで、個人でも業務用3Dプリンターを活用して試作品の制作を依頼することが可能です。この手法を用いれば、高品質で効率的な試作品を得ることができます。
個人で3Dプリンターが必要となるシーン
3Dプリンターは、さまざまなシーンで非常に便利なツールとして活用されています。特に個人が部品や作品の試作を行う際には、3Dプリンターが非常に有用です。以下に、個人で3Dプリンターが必要となるシーンについて詳しく説明します。
◇部品や作品の試作
3DプリンターはDIY愛好家やプロのアーティスト、起業家や研究者にとって、さまざまな用途で活躍します。以下で主な用途について解説します。
DIY
DIY愛好家のなかでは、家具、電子機器、装飾品などを3Dプリンターで自分で作成したいというケースも多いです。3Dプリンターを使用することで、自身で設計した部品やアクセサリーの試作を迅速に行えます。
アート作品の制作
アーティストやデザイナーは、3Dプリンターを使用して独自のアート作品を制作できます。具体的には、試作段階で物理的なモデルを作成してデザインの確認や修正を行うことが多くみられます。
プロトタイプの開発
3Dプリンターはプロトタイプの開発にも適しています。従来の試作方法では金型の製作などに多くのコストと時間がかかりましたが、3Dプリンターを所有することで材料代だけで試作が可能です。これにより、コストを最小限に抑えながら多彩な材料で試作品を作成できます。
また、3Dプリンターを使用することで試作期間を大幅に短縮できます。従来の試作では図面への落とし込みや組み立てなどの手間や時間がかかりましたが、3Dプリンターを使えば3Dデータさえあればすぐに試作品を製作できます。さらに、修正も容易であり、アイデアをすぐに具現化することができます。
◇試作品製作方法と流れ
試作品の製作方法は、まず製品のコンセプトを決め、CADソフトを使用して設計図を作成します。これにより、製品や部品のデザインを具体化し、3Dプリンターで物理的なモデルを作成する準備をします。
次に、3Dプリンターを使用して設計したモデルの物理的な部品を作成します。3Dプリンターは、設計図を元に材料を積層して立体的な形状を作り出すため、迅速かつ精密な試作が可能です。
製品が完成したら、評価とテストを行います。これにより、デザインの確認や機能性のテストを実施し、製品の性能や品質を検証します。
評価やテストの結果をもとに、製品に必要な調整や改良を行います。その後、再度3Dプリンターを使用して改良されたモデルを製作し、改良の効果を確認します。
最終的な試作品が完成したら、量産する前の最終確認を行い、本番製造に移行します。これにより、試作品の品質や性能が最終製品に反映され、効率的な量産が実現されます。
家庭用3Dプリンターで試作品を製作するときの懸念
画像出典先:Nature3D
家庭用3Dプリンターを使用して試作品を製作する際には、いくつかの懸念点があります。以下に、主な3つのポイントについて説明します。
◇造形スピード
家庭用の3Dプリンターは一般的に業務用のものよりも造形スピードが遅い場合が多いです。特に複雑な形状や高精度な部品を作成する際には、印刷時間が長くなることがあります。このため、短期間で多数の試作品を製作する必要がある場合は、業務用プリンターを使用した方が確実です。
◇精度
精度の面でも、家庭用3Dプリンターは商業用プリンターに比べて能力が低いです。特に微細な部品や高精度な形状を必要とする場合、プリンターの限界に達することがあります。また、印刷時に生じる変形や歪みも、精度に影響を与える可能性があります。
◇材料
家庭用3Dプリンターのひとつの問題点は、使用できる材料が限られていることが多いということです。家庭用3Dプリンターで使用される材料は、基本的に耐久性や強度をあまり必要としないプラスチック系材料(ABS、PLA、PETGなど)が主流です。
高度な材料やメタル材料は利用できないケースが多く、特定の要件を持つ製品を作成する場合、家庭用3Dプリンターの材料では対応が難しいことがあります。
一方、業務用3Dプリンターはプラスチック以外にも、金属(ステンレス鋼、チタン、アルミニウムなど)、セラミックス、バイオマテリアルなど、さまざまな高度な材料を使用できる点が大きな利点です。
個人でも業務用3Dプリンターへ依頼が可能
個人でも業務用の高性能な3Dプリンターを利用して製品の製作を依頼することが可能です。業務用3Dプリンターは、高度な精度と効率性を備えており、プロトタイプや試作品の製作に最適です。個人のアイデアやプロジェクトを実現するために、業務用3Dプリンターを活用することで、独自の製品を実現することができます。
◇業務用3Dプリンターでここまでできる
業務用3Dプリンターは、試作の製作だけでなく、他にもさまざまな用途があります。
まずは、意匠確認です。製品のデザインや外観を詳細に確認するために、3Dモデルから物理的なモデルを作成します。これにより、製品のサイズや形状、色彩を直接確認し、デザインの調整や改良に活用できます。
次に、治工具の製作です。業務用3Dプリンターは、組み立てや検査作業を効率化するための治工具や、特定の用途に合わせたカスタムパーツの作成にも有効です。これにより、製造作業の効率が向上し、納期の短縮やコストの削減に貢献します。
さらに、機構検討にも活用されています。高精度な3Dプリンターを使って、実際の製品に近い造形物を作成し、可動パーツの動作確認や、勘合部の確認などに利用されます。また、膨大な数のパーツを実寸サイズで3Dプリントし、組み立てや組み付けの検証に活用されています。
こうした業務用3Dプリンターの活用により、製品の開発プロセスが効率化され、より迅速かつ正確な製品の製作が可能となります。
◇業者ならデータ作成から依頼が可能
個人の場合、最初の3Dプリント用データを作成することが難しい場合が多いです。3Dプリント業者はデータ作成の専門家でもあるため、個人では難しい3Dデータの作成もサポートしてもらえます。
業者によっては、3Dデータの作成から完成までの工程をすべて一貫して請け負ってくれるケースもあります。データ作成からプリント、仕上げ作業まで一貫して業者が担当した場合、手間とコストの削減、さらに品質のばらつきを最小限に抑えられることがメリットです。
業務用3Dプリンターで試作品制作の時間とコストを削減
業務用3Dプリンターを社内に設置して試作品を制作することには、いくつかの重要なメリットがあります。
◇開発期間が短縮できる
業務用3Dプリンターの大きなメリットのひとつは、試作品の制作時間を大幅に短縮できることです。社外に依頼する場合、数週間かかってしまうこともありますが、社内で直接プリントすることで、即座に試作品を製造し評価できます。これにより、迅速なデザインの修正や改良が行え、開発の進行速度が向上します。
◇コストの削減が見込める
社外に試作品の制作を依頼する場合、制作費や送料、さらにはその他の追加費用が必要です。しかし、社内で3Dプリンターが利用できれば、これらの外部委託にかかるコストを一切かけずに試作品を製造できます。また、社内に3Dプリンターがあることで、急な設計変更や試作品の追加制作にも迅速に対応でき、外部への依頼のコストが省けます。
社内で試作品を制作することによって、開発プロセス全体の透明性が確保できることもメリットです。制作にかかるコストが明確になることで、開発予算の管理が容易になり、予算オーバーを防げます。
3Dプリンターは、個人が部品や作品の試作を行う際に非常に有用です。DIY愛好家やプロのアーティスト、起業家や研究者など、さまざまな用途で活躍します。具体的には、家具や電子機器、装飾品などの自作や、アート作品の制作、プロトタイプの開発などに利用されます。
試作品の製作方法は、製品のコンセプトを決めてCADソフトで設計し、3Dプリンターで物理的なモデルを作成する流れです。個人が業務用3Dプリンターを利用して製品の製作を依頼することも可能で、高度な精度と効率性を備えています。
業務用3Dプリンターは試作のほか、意匠確認や治工具の製作、機構検討など、さまざまな用途に活用されます。個人の場合、3Dプリント用データの作成が難しい場合もありますが、3Dプリント業者に依頼することで全工程をサポートしてもらえます。
業務用3Dプリンターを社内に設置することで、試作品の制作時間を短縮し、コストを削減できます。開発プロセス全体の透明性も確保され、効率的な製品の製作が可能となります。