3Dプリンター活用技術検定試験とは?試験誕生の背景や取得の利点
2024/05/31
業務用3Dプリンター扱う際、3Dプリンター活用技術検定試験を受けておくと役立ちます。
3Dプリンター活用技術検定試験は、業務用3Dプリンターの普及とともに求められる専門知識と技術を評価する資格です。近年、製造業や建築、医療など多岐にわたる分野で3Dプリンターの利用が増えていますが、その操作には高度な技術とデータ管理の知識が必要とされます。
この資格は、3Dプリンターの設定や操作、3Dモデリング、材料選定、出力品質管理などのスキルの証明にもなるのです。また、取得によって、就職や転職の際に有利になり、最新の業界動向や市場を把握する助けにもなります。
3Dプリンター活用技術検定試験とは?必要な知識が身につく
近年、業務用3Dプリンターを活用して製造しているものが増え、なくてはならない存在になってきています。その一方で3Dプリンターは技術だけでなく、データの取り扱いなどの知識がなければなりません。3Dプリンターを扱う技術者が持っておくべき資格が「3Dプリンター活用技術検定試験」です。
◇3Dプリンター活用技術検定試験
3Dプリンター活用技術検定試験では、3Dプリンターに必要な知識・技術を評価します。この資格は、3Dプリンターを扱うエンジニアや学生が身につけておくのがおすすめです。
3Dプリンターの設定や操作をはじめ、3Dモデリングの基礎や材料、フィラメント選定、出力品質の管理などに役立ちます。また、技術者のスキル評価・資格取得の基準としても使用される3Dプリンターの国内唯一の資格です。
◇3Dプリンターには基礎知識が必要
3Dプリンターを扱うには、基礎知識を身につけておかなければなりません。エンジニアは、造形方法・CADデータの取り扱い方法・造形材料・後工程など幅広い知識・技術が必要です。3Dプリンター活用技術検定試験は、知識や技術の証明にもなります。
3Dプリンターを扱うには様々なスキルが必要?
出典元:フォトAC
3Dプリンターを扱うには、さまざまなスキルが求められるため、習得しなければなりません。求められるスキルは大きく分けて次の3つです。
◇3Dデータの作成
3Dプリンターを使用する際は3Dデータが必要になりますが、3Dデータを用意する方法は3つあります。
まず1つ目が2DCADから3Dデータへ変換する方法です。製造では2Dデータがよく使用されるため、データを用意できる一方で、3Dを上手く再現できないケースもあります。
2つ目は、3DCADソフトでモデリングする方法です。この方法では、さまざまな造形物を設計できます。ただし、3DCADソフトのスキルを身につけなければなりません。
3つ目は、3Dスキャナで3Dデータを抽出する方法です。この方法は、手作業で造形したものやデータが残っていない場合に重宝します。しかし、ノイズが混ざってしまうため、寸法の再現が困難です。
◇スライスソフトの操作
3Dプリンターには、さまざまな出力方式があり、FDM方式では材料を溶かしつつ1層ごとにプリンターヘッドを動かして材料を積み上げて造形します。このヘッドを動作させるためには、造形ツールパスデータへの変換が必須です。
造形物パスデータへの変換に使用する変換ソフトをスライスソフトといい、3Dプリンターによって合うソフトも異なります。また、造形物の安定性・精度調整するパラメーターの設定もあるため、これらの操作に慣れておかなければなりません。
◇造形後の処理
ほとんどの3Dプリンターでは、造形物の形状によってはまわりにサポート材が付いているため除去が必須です。サポート材にも種類があり、除去方法もそれぞれ異なります。一般的な除去方法は次の2つです。
1つ目の方法は、手で剥がすまたは工具を用いて物理的に除去します。特別なスキルや道具が必要ないため、簡単です。しかし、取り残しや造形物の破損につながる可能性もあります。
2つ目は、溶解液を使用した除去方法です。この方法では人的作業が少なく、サポート材除去での破損のリスクほとんどありません。その代わりに専門的な知識・設備が必要になるため、1つ目の方法よりも手間がかかります。
3Dプリンター活用技術検定試験を紹介
3Dプリンター活用技術検定試験の受験を考えている方は、試験概要や試験内容を把握しておくと安心です。
◇試験の概要
3Dプリンター活用技術検定試験は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が実施しています。国内唯一の3Dプリンターに関する資格で受験資格はありません。3DCADエンジニアや3Dプリンター導入担当者、製造業界への就職希望の学生などが受検対象者となっています。
◇試験内容
試験内容は下記の通りです。
3Dプリンターの基礎知識
3Dプリンターの造形材料、造形用データ、3Dプリンターの用途について出題されます。
3Dプリンターの造形方法
材料押出(熱溶解積層)、光造形、材料噴射、粉末床溶融結合、シート積層、指向性エネルギー堆積が出題されます。
3Dプリンターの活用方法
3Dプリンター活用前の準備・用途別の活用事例について出題されます。合格基準は70%以上です。また、これらの試験問題はCBT方式による多肢選択式と真偽方式で出題されます。
3Dプリンター活用技術検定試験の取得による利点とは?
3Dプリンター活用技術検定試験を取得するメリットは次の3つです。資格取得による利点を知った上で受験を検討してみるのもよいかもしれません。
◇スキルの証明になる
3Dプリンター活用技術検定試験の資格は、取得した時点で一定の知識やスキルを持っている証明になります。第三者に明示できるうえ、自身のスキル評価につながるのも利点の1つです。
◇就職や転職に役立つ
転職や就職にも資格は活かせます。特に3Dプリンターは、製造業界だけでなく建築や医療、クリエイティブ系の業界でも活かせるため、これらの職に就く際に役立つ点も3Dプリンター活用技術検定試験の良い点です。
◇市場への理解が深まる
市場や業界動向について理解を深められるのも利点です。資格を取得する過程で最新の業界動向や市場を把握でき、さまざまな造形方法や造形方法の良い点や注意点を学べるのも魅力です。また、他の業界との比較もできます。
3Dプリンター活用技術検定試験は、3Dプリンターの知識と技術を評価する資格です。エンジニアや学生が取得することで、3Dプリンターの設定、操作、3Dモデリングの基礎、材料選定、出力品質管理に役立ちます。
資格取得には、3Dデータの作成、スライスソフトの操作、造形後の処理など幅広いスキルが求められます。試験はコンピュータ教育振興協会が実施し、受験資格はありません。試験内容は3Dプリンターの基礎知識、造形材料、造形方法、活用方法に関するものです。合格基準は70%以上で、CBT方式で行われます。
スキルの証明、就職や転職への有利性、市場や業界動向への理解が深まる点などが資格取得による利点です。資格取得を通じて、最新の業界動向や市場を把握し、さまざまな造形方法や注意点を学べます。