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3Dプリンターでアルミ造形ができる?

2024/07/23

アルミ製品

3Dプリンターで使用されるアルミニウム合金として、AlSi12とAlSi10Mgが代表的です。これらは航空宇宙や自動車産業での使用に適しており、特にAlSi12は耐食性が高く、AlSi10Mgは耐衝撃性と強度が優れています。

また、新たな高強度アルミニウム合金の開発が進んでおり、これらは業務用3Dプリンターを活用して複雑な形状の部品を低コストで製造することが可能です。ただし、アルミニウム合金は摩耗しやすく、粉塵爆発のリスクもあるため、適切な対策が必要です。

3Dプリンターで使えるアルミ材料は?

アルミは軽量でありながら高い強度と耐熱性を備えており、航空宇宙や自動車産業で広く利用される素材です。3Dプリンターでも、アルミ材料を使用できます。また、新素材の開発も進んでおり、さらなる性能向上が期待されています。

◇金属3Dプリンターで使える主なアルミ合金

業務用の金属3Dプリンターで使用される主なアルミ合金には、AlSi12とAlSi10Mgの二つがあります。

AlSi12はシリコンを含むアルミ合金で、ADC1に相当し、ADC12と比べて耐食性は優れています。主な用途には、航空宇宙部品、ダイカスト製品の代替品、治工具などが挙げられます。

AlSi10Mgはシリコンとマグネシウムを含み、耐衝撃性と強度が高い合金です。また、ADC1と同じくらいの耐食性を持ち、ADC3にも類似しています。

この合金は機械加工で広く使われており、用途では自動車部品のマニホールド、ブレーキドラム、ギヤボックス、ミッションケース、さらには航空機部品や小型エンジン部品などが挙げられます。

◇新素材の開発も進む

アルミニウムに他の金属元素を添加することで、軽量性を保ちながら強度や耐熱性を高めた「高強度アルミニウム合金」の開発が進められています。この合金により、航空宇宙や自動車産業の厳しい性能基準に適合する部品の製造が可能です。

さらに、「高強度アルミニウム合金」は金属3Dプリンターの可能性を広げ、先進的な製品開発を推進する重要な材料として注目されています。

アルミ合金のリスク

アルミ粉
画像出典:東洋アルミニウム株式会社 公式サイト

アルミ合金には多くの利点がありますが、使用にはいくつかのリスクも伴います。特に、強度や耐久性、粉塵爆発の危険性などが挙げられます。

◇強度

アルミニウム合金は他の金属に比べて軟らかいため、表面に傷がつきやすく、摩耗しやすいというデメリットがあります。この特徴により、摩耗が予想される環境や大きな機械的負荷がかかる用途には向いていません。

また、アルミニウム合金は融点が低いため、高温環境では強度や硬度が低下しやすくなります。

◇粉塵爆発

粉塵爆発とは、特定の濃度の可燃性粉塵が大気中に浮遊し、火花などで引火して爆発を引き起こす現象です。微細な粉塵は表面積が大きく、空気中の酸素と結びつきやすいため、火気があれば爆発的に燃焼します。

金属3Dプリンターで使用する金属粉末は20μm~70μmほどと微細なため、空中に舞い上がりやすく、粉塵爆発のリスクが高まります。さらに、造形室は乾燥状態にあるため、静電気も発生しやすく、これが引火源となる可能性もあります。

アルミ合金の材料を用いる場合は、安全教育の徹底や、静電気防止のための装備と対策が重要です。

アルミ合金の欠点を克服する3Dプリンター技術

アルミ合金の欠点を克服するために、3Dプリンター技術が進化しています。従来の製法では実現が難しかった軽量化や強度の向上を可能にする新しい技術が開発されています。

◇格子構造

ある大学の研究では、従来の鋳造や圧延では不可能とされてきた格子構造にAlSi12合金を成形することで、軽量化と驚異的な強度を同時に実現しました。

3Dsystemsの金属用プリンターPROX200を用いて作られた立方体は、わずか3.9グラムで24mmのサイズですが、最大408kgの重量に耐えることが確認されました。この技術は、アルミ合金の欠点を克服し、新たな可能性を開拓しています。

◇ADAM方式

ADAM方式では、樹脂を使用する通常の3Dプリンターと同様にFDM方式で材料を押し出して積層します。異なる点は、材料に熱可塑性樹脂と金属粉末を使用することです。造形後、脱脂工程で樹脂を除去し、焼結によって金属部品を完成させます。

この方式により、高強度・高密度の金属部品を短時間で製造でき、粉塵爆発のリスクも低減されます。さらに、導入費用が従来の金属3Dプリンターの10分の1程度に抑えられるため、より多くの企業が導入を検討できるでしょう。

複雑なアルミ製品を低コストで製造

複雑なアルミ製品の製造には、従来の成形加工や切削加工では高額なコストがかかっていました。しかし、3Dプリンター技術の進化により、これらの複雑な形状を低コストで実現することが可能になったのです。

◇材料コストの低減

アルミニウムは、金属材料の中でも比較的安価で、軽量かつ高強度、耐食性にも優れています。高性能な材料にチタンやステンレスが挙げられますが、材料費が高く、価格変動も大きいため、長期的なコスト管理が難しくなります。

例えば、チタン(丸棒)の価格目安は1kgあたり1,000円~1,500円ほど、ステンレスは1kgあたり500円~700円です。一方のアルミニウム(地金)は、1kgあたり300円~400ほどであり、上記の金属よりも安価に仕入れられます。

アルミニウムの材料を使用することで、原料コストを大幅に削減できます。

◇形状の自由度がアップ

従来の成形加工や切削加工、接合加工では難しい複雑な形状も、3Dプリンターなら金属部品を自由に造形できます。また、従来技術では高額な製造費用がかかる形状も、3Dプリンターなら材料費のみで低コストです。 さらに、複数のパーツを組み立てる必要がある製品においても、一体で造形することで組立工程を省けます。3Dプリンター用のデータ変更で形状の変更も簡単にでき、追加コストなしで自由に形状を変えられるのも大きなメリットです。


3Dプリンターで使用する代表的なアルミニウム合金にはAlSi12とAlSi10Mgがあります。AlSi12は耐食性に優れており、航空宇宙部品やダイカスト製品の代替品、治工具などに用いられます。一方、AlSi10Mgは耐衝撃性と強度が高く、自動車のマニホールドやブレーキドラム、航空機部品などに適しています。

近年では新しい「高強度アルミニウム合金」の開発も進んでおり、これにより更に高い性能を持つ部品が製造可能になっています。これらの合金は、軽量でありながら、極めて厳しい性能要求を満たすことができるため、革新的な製品開発に貢献しています。

技術の進歩により、AlSi12合金を格子構造で成形する新技術が開発され、驚くべき軽量化と強度を実現しています。この技術は、従来の製造法では不可能だった複雑な形状を可能にし、製造コストも大幅に削減できるため、多くの業界での応用が期待されています。

ただし、アルミニウム合金は摩耗や傷がつきやすく、高温での使用には向かないという弱点があります。さらに、3Dプリンターで使用される際の金属粉末は粉塵爆発のリスクを伴うため、厳重な安全対策が必要です。

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