3Dプリンターはファッション業界でも大活躍!
2024/07/25
3Dプリンターがファッション業界で高く評価されている理由は、従来難しかった複雑なデザインの実現が可能になったことと、試行錯誤のプロセスが効率化され、迅速なデザイン改良が可能となったことです。
例えば、3Dデザインソフトを使用することで、パターン作成や布の裁断・縫製の工程を省略し、デザインの修正や改良が迅速に行えるようになります。 3Dプリント技術を活用したスニーカーやバッグなどのファッションアイテムがすでに商品化されており、ファッション業界におけるイノベーションが促進されています。
3Dプリンターがファッション業界で注目される理由
業務用の3Dプリンターは、これまでの製作方法では難しかった複雑なデザインを可能にし、ファッション業界で注目を集めています。また、試行錯誤の工程が効率化できる点も、デザイナーに新たな創造の自由を提供しています。
◇ファッションショーでも高評価
3Dプリンターによる洋服は、その革新性と高品質からファッションショーで高く評価されています。特に、2013年春夏オートクチュールコレクションで世界的に有名な女性デザイナーが3Dプリンターを用いた作品を披露し、注目を集めました。
2015年には彼女の作品が有名ファッション誌で特集され、その影響力は一層拡大しています。現在では、彼女だけにとどまらず、複数の有名ファッションブランドが3Dプリンターを活用したアパレルをコレクションで発表しました。
◇新たなデザインが実現可能に
3Dプリンターの導入により、ファッション業界ではこれまで実現不可能だったデザインが可能になりました。
3D技術を活用することで、現実の物理法則に縛られない複雑で革新的なデザインが可能だからです。3DCADを使った製作過程では、平面と立体を自由に行き来しながらデザインを試せるため、今まで諦めていたデザインも実現できます。
また、3Dデザインソフトを使用することで、デザイナーはパターン作成や布の裁断・縫製の工程を省略し、大幅に時間を短縮できます。その結果、同じ時間内で数倍の試行錯誤ができ、デザインの修正や改良が迅速に行えるようになったのです。
3Dプリンターでファッションアイテム造形するときのハードル
3Dプリンターでファッションアイテムを造形する際には、コストの高さや必要なノウハウが大きな課題です。高額な本体と材料費、そして強度と発色を両立させるための技術と経験が求められます。
◇価格が高い
3Dプリンターによるファッションアイテムの造形には、本体や材料費など高額なコストが伴います。そして、高精度なプリントを求めるほど、必要なプリンターや材料の価格はさらに上昇し、その分製品の価格も高くなります。
例えば、3Dプリンター本体の価格は数千万円に達することがあり、使用する樹脂材料も1kgあたり数万円から10万円以上と非常に高額です。このため、3Dプリンターを活用する場合、コストが非常に高くなり、製品の販売価格にも大きな影響を与える可能性があります。
◇ノウハウが必要
3Dプリンターでファッションアイテムを造形するには、特別なノウハウと多くの経験が必要です。強度と発色を両立させるために、さまざまな条件下で試作を繰り返し、最適な材料と方法を見つけなければなりません。
また、発色のよい材料は割れやすい、強度のある材料は形状や発色に問題があるなどの課題もあるため、試行錯誤が不可欠です。
ファッション分野は3Dプリンター対応へ進化
業務用の3Dプリンター技術の導入により、ファッション分野は大きく進化し、複雑なデザインが可能になりました。また、教育機関では3Dモデリングの専門コースが新設され、次世代のデザイナーが育成されています。この技術革新によって、ファッション業界は新たな可能性を切り拓いています。
◇生地や服へ直接プリント
3Dプリンターで生地や服に直接プリントする技術は、ファッション分野に革新をもたらしています。デニム、綿、ポリエステル、麻、革など多様な生地に対応し、1枚から数万枚までの大量プリントが可能です。
既存の生地をベースにするため、全てを3Dプリントするよりも材料費を抑えられる可能性があります。
◇既存の造形方式で対応が可能
ファッション専用の3Dプリンターもありますが、既存の造形方式を使うことも可能です。3Dプリント用データを作った経験があれば、その知識を応用できます。
ファッションでは柔軟性や柔らかさが求められるため、主にプラスチック材料を使用する3Dプリンターが利用されます。FDM方式、光造形方式、インクジェット方式、レーザー焼結方式など、これらの既存の造形方式はすべてアパレル分野で活用されています。
別の事業で3Dプリントの技術やノウハウを取得していれば、応用してファッションアイテムの製作が可能です。
◇専門学校の3Dモデリングコースを活用
ファッション分野の進化に対応するため、専門学校では「バーチャルファッションコース」が設立されました。このコースでは、最新のデジタルスキルとテクノロジーを学び、3Dモデリストを育成しています。
学生はCLOやBlenderといったソフトを使用して、3Dモデリングやデジタルパーツデザインを習得することが可能です。これにより、ファッション業界はもちろん、広告やグラフィックデザイン分野でも活躍できる人材を目指しています。
市販されている3Dプリンタファッション
最新の技術を活用して革新的なデザインと機能を提供しています。スニーカーやバッグなど、これまでの製品とは異なる柔軟性とカスタマイズ性が魅力です。各ブランドは、3Dプリント技術を駆使して独自のアイテムを開発し、ファッション業界に新たな可能性をもたらしています。
◇スニーカー
3Dプリント技術を用いたスニーカーの開発が進んでおり、大手シューズブランドでも、シューズの一部に3Dプリンターを使用した製品を発表しています。
例えば、2020年の東京オリンピックでは、ミッドソールが3Dプリントされたランニングシューズが注目されました。一方、他のメーカーでは、スニーカー全体を3Dプリントで製造しており、高いフィット感、通気性、クッション性を実現しています。このスニーカーは単一素材で作られ、完全リサイクルが可能な点も大きな特徴です。
◇バッグ
3Dプリンターで作られたバッグも登場しています。このバッグはTPU(熱可塑性ポリウレタン)製で、持ち手やベルト部分は牛革で作られています。TPUは医療器具にも使われる軽くて柔らかい素材で、耐久性が高く、臭いもありません。
また、高周波ウェルダー加工で素材を接合し、牛革には光沢のあるガラス加工が施されています。3Dプリンターの出力であるため、小ロット生産にも対応できる点も魅力です。
3Dプリンターがファッション業界で注目されている理由には、これまで不可能だった複雑なデザインの実現や試行錯誤プロセスの効率化が挙げられます。特に、世界的に有名なデザイナーがファッションショーで3Dプリンターを使用した作品を披露し、ファッション誌で特集されたことが影響力を拡大させました。
これにより、複数の有名ブランドがこの技術を採用し始めています。3Dプリンターはデザイナーに新たな創造の自由を提供し、物理法則に縛られない革新的なデザインが可能になり、デザインの修正や改良を迅速に行えるようになりました。
しかし、3Dプリンターでファッションアイテムを造形する際は、高額なコストと特殊なノウハウが必要とされる大きな課題があります。材料費や本体価格が非常に高く、強度と発色を両立させるためには試行錯誤が必要です。
技術革新により、ファッション業界に新たな可能性がもたらされている一方で、これらの課題を克服するための努力も求められています